研修会開きました(支援相談員部会:その5)

2013年2月7日|

 介護事故を予防するためには何が必要か?新井弁護士は厚生労働省が求めていることとして「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成十一年三月三十一日、厚生省令第四十号)」をまず紹介。そして重要な事項として次の5項目を示しました。

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(1)アセスメントとケアプランの定期的見直し強化・・・個別化・記録化・共有化が重要。記録は家族が読むこともあるし、訴訟の証拠になることもある。リスクアセスメントとケアプランは一度行えばいいのではなく、繰り返し検証しなければならない。また目に見える形で職員と利用者、そして家族と共有していかなければならない。

(2)本人・家族への頻回の連絡・説明責任の実施・・・説明は入所する前からしっかりと。入所後に「違和感を覚えた」という家族も多い。また、免責事項に関して「(事故が生じても)一切施設は責任を負わない」などというのは消費者契約法に反しており無効。

(3)事故防止・対応マニュアルを作成し、研修を行う・・・この2つのマニュアルはそれぞれ別々に作ること。

事故防止マニュアルは、色々なリスクを組み込んで、職員の行動基準を詳細かつ明確に作ることが大事で、裁判ではそれにのっとってやっていたかが問われる。また家族にも開示していれば、「こういうケアをしている」という外部アピールにもなる。責任の所在にも使える。「ひやり・はっと報告書」をもとに、個別具体的に注意事項を基準化すること。他から持って来て作るのでもなければ、作って終わり、でもない。見直しを行うとともに、皆が把握できるよう研修をして初めて意味をなすものである。

 事故対応マニュアルは、事故が起こったときどういう対応をするか?というものだが、事故が起こるとあたふたと慌てて、色々細かくは読めない。従って簡潔で最低限の内容にすること。その中でも緊急救命措置手順は絶対に必要。家族への連絡方法、責任者は一元管理しておくこと。

(4)システム作っても、全体で防止に取り組む意欲がないと絵に描いた餅に過ぎない。施設長のリーダーシップと、職員一人一人の取り組みが必要。

(5)損害賠償保険に入る。

 

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研修会の終わりに新井弁護士は、「介護において、事故は絶対に避けられません。ただし、避けられない事故と、避けられる事故があり、それらを区別する必要があります。避けられないものについては被害の最小化と受容する素地作りが、そして避けられるものについては施設全体で撲滅をはかっていくことが大切です」と訴えました。

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法律の専門家による研修ということで、専門用語ばかりの難しい内容ではないか?という不安もありましたが、新井弁護士の話はわかりやすく、しかも介護保険の現実に即した実際的な内容で、役に立つ充実した研修会となりました。

(終わり)

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