研修会開きました(看護介護部会:その5)

2013年5月31日|

  このように感染症をめぐる様々な情報を踏まえ、疾患の種類を問わず、誰でも・いつでも・どこでも実施することが重要である「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」について説明がありました。

 標準予防策(スタンダード・プリコーション)とは、「患者の湿性生体物質(血液、唾液、胸水、腹水、脳脊髄液などの体液、汗を除く分泌物、尿や便などの排泄物、傷がある皮膚、粘膜)を感染性があるとみなして実施する感染予防策」。その目的は医療従事者を介した患者から患者への交差感染(医療職者媒介感染)を防ぎ、患者を守ること、そして患者が保有している(あるいはその可能性がある)病原体から、医療従事者および医療環境を守ることとのこと。

 また標準予防策を実施する場面は、各職種がそれぞれの業務を行う場面の全てであり、また医療職者が病院内で行うすべての業務にその周知・徹底・順守が必須であることから、「医療関連感染のリスクがある場面だけでなく、全ての職種の業務場面で標準予防策が実施されなければならない」と強調しました。

 標準予防策の具体的な項目は(1)手指衛生の徹底、(2)個人防護具の適切な着脱、(3)呼吸器衛生・咳エチケット、(4)注射・輸液等を介した感染予防、(5)医療器具・機器等を介した感染予防、(6)環境への対策(:清掃)、(7)布製品の取り扱い(:洗濯)、(8)血液媒介病原体による針刺し・切創・汚染予防・・・の8つ。この中で特に手指衛生を順守することは、「感染制御の基本、『魔法の習慣』だ」と訴え、詳しい説明がありました。

 手指衛生を行う場面は(ア)患者に触れる前、(イ)清潔な処置・無菌操作の前、(ウ)患者の体液に暴露の危険があった後/手袋を脱いだ後、(エ)患者に触れた後、(オ)患者の周囲の物品や直近の環境に触れた後・・・の5つ。南嶋先生は、「従来言われていた『1処置・1手洗い』ではなく、『1処置2手指衛生』、つまり『処置の前・後に手指衛生』を全員で徹底しましょう」と呼びかけました。

 また、「手袋の使用は手指衛生の代わりにはなりません。個人防護具の中で手袋が最も汚染されています。処置ごとに交換しなければ手袋自体が媒体となって患者から患者へ病原体を伝達してしまいます。手袋をしたまま施設を移動しないように。そして手袋を脱いだら必ず手指衛生を!」と注意を喚起しました。

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(つづく)

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