褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その6)

2014年6月23日|

【31.褥瘡治療の実際(1)

 

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 古賀総合病院皮膚科部長の津守伸一郎先生による研修会は、褥瘡の治療に入りました。まず「褥瘡ケアのポイント」として、次の4点が示されました。

 

(1)何はともあれ徐圧 

(2)局所を洗う。入浴は清潔を保ち循環を良くする

(3)消毒は必要ない

(4)栄養は抵抗力・治癒力の源

 

 この中の徐圧に関し、「体位変換は体圧分散のかなめです」と述べた上で、2時間ごとの30度側臥位を基本とし、頭側挙上は30度以上あげないようにすることや、できるだけ2人で実施すること、さらに経管栄養時の椅坐位の際も十分注意することなどといった説明がありました。「経験栄養の時に褥瘡を作る方は多いです。ベッドをギャッジアップする時に『背抜き』をしたり、まっすぐ起こすのではなく少し側臥位ぎみに起こしてやることで意外と早く治ります」と写真で実例を示しながら解説が行われました。

 これに加え、車いす上での座らせ方(シーティング)や、近年、高性能のものが次々と開発されている徐圧・摩擦とずれの防止のための体圧分散寝具(エアマット)およびそのチェック方法などの紹介もありました。ただし「道具を使えばいい、というものではありません」と津守先生。道具を過信せず、自ら必ずチェックして正しく用い、褥瘡を治癒に導いていくことの重要性を学びました。

 次に「褥瘡がどのような経過をとるか、ということを理解して欲しいと思います」と前置きし、「褥瘡は必ず同じ道筋を通っていきます」と断言。実際に仙骨部の褥瘡を初診時から3ヶ月半後までたどった経過をスライドに示すとともに、先に説明した炎症期壊死・滲出期肉芽形成・増殖期上皮形成・成熟期、という経過をおさらいしながら、「薬を塗るなど何かの治療をしたら、この3ヶ月半の経過が1週間や2週間で治るということはありません」ときっぱり。そして「私たちはこのキズ(褥瘡)はこういう経過をとっていくというのが見えます。一方あまり経験がない人は『何かをすれば早く治るのではないか?ひどくならないのではないか?』と思いがちです」と述べた上で、「とにかく『一回できた褥瘡は取り返しが付かない』と思ってください」と会場を見渡しながら訴えると、参加者はそのことを肝に銘じながら聞き入っていました。

(つづく)

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