ターミナルケア学びました(看護介護部会:その7)

2014年3月12日|

【ターミナルケアにおけるコミュニケーション】

看護介護研究部会主催の「高齢者のターミナルケア研修会」。東京都中央区にある聖路加国際病院の緩和ケア科部長、林章敏先生による講演は、高齢者緩和ケアの倫理や、ホスピス緩和ケアを提供する形態、がん医療と緩和医療、ケア・介護の関係などと進み、老健施設で働く私達にとって非常に大事なコミュニケーションについての話に移りました。

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 コミュニケーションスキルの基本である「『傾聴』『共感』『感情への対応』」をスライドに示したのに続き、「『傾聴』はコミュニケーションの出発点です」。様々な問題を抱えている患者や家族が口にできなくても、「もう少し聴かせて下さい、教えて下さい」と聞いて欲しいところまで踏み込む「積極的傾聴」を行うことで、自分を安全な状態においたままで話せるところまで話してもらえることがあるとのことでした。

 また、「一番気がかりなことは何ですか?」とも尋ねるそうですが、その中で楽しみにしていることも聞くとのこと。「辛い事だけ聞いていると、痛みの治療だけに専念してしまい、かなえたいことがかなえられないこともあります」と説明に、患者やその家族のQOLをおもんぱかろうとする林先生の姿勢が伺われました。

 次に「共感」については「一番大事なのは『私達がわかること』ではありません。患者や家族に『この人に伝わったのだ、わかってもらえたのだ』と思ってもらえることです。それにより『ああ、この人なら何とかしてくれるんじゃないか』と感じてもらえます。そうでなければ『この人に何を話してもわかってもらえない』となります」と説明。”オウム返し”が基本で、「そうだったんですね。辛かったんですね。そうも思いたくなりますよね」など、「伝わりました」という言葉をきちっと返すことの大切さを指摘する一方で、「『”伝わったんだ”ということを伝える』ことを意識して行うように心掛けて下さい。『言わなくても伝わっているだろう』ではいけません」と念を押しました。

 「感情への対応」に関しては、「病気などの大きな出来事に対して泣きたくなったり、怒りたくなったりすることがあるかもしれませんが、これは当然のことです。これに対して通常のコミュニケーションだと私達はなだめようとします。しかし場面場面で悲しい事や悔しい事が起こっている時には『そのように思われても当然だろうな』という部分もあります。ですから『それは悲しいですね、悔しいですね』とそのような感情の動きを受け止めることが大切です。いきなり励ますのは否定になってしまいかねません。まず受け止めた上で、『でも力になっていきますからね』と励ましていくことが大事です」と患者や家族の感情の動きをまず受け止めてから支えていくことの重要性を強調しました。

(つづく)

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