ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その8)

2014年1月15日|

【ハラスメントの要因】

一般的にハラスメントの要因とされるのは経営と労働環境です。具体的には(1)経営が惰性的でスタッフのレベルが高い事業場、(2)広範な競争概念を導入した経営方法、(3)慢性的な人材不足と過重な動労負担、(4)職務内容が不明確だったり、仕事のやり方がうまく組織化されていない、(5)過度の階級性:指示系統が複雑、(6)不十分な指示と情報不足・・・などがあげられますが、これらは非生産的な職場です。一生懸命頑張っても成果が上がりにくいといえます。

また、立場や地位の違いによる問題、つまり力の濫用があります。ハラスメントの問題が最初に生じた現場は、実は学校です。いわゆる「アカデミック・ハラスメント」であり、アメリカの大学で、教授と学生という立場の違いから生じたものです。学校にはこれに加えて幹部教員と一般教員、先輩教員と後輩教員、教員と講師、教員と実習生、部活の顧問と部員、PTA役員と新任教員などといった立場の違いがあります。本来その力の違いを正しく上手にコントロールするとより良いものになっていくものですが、そこ「濫用」が入ってくると問題が出てきます。

 職場においては雇用者と被雇用者という雇用の関係がありますし、人事考課の考課者と被考課者という関係があります。事務職と現業職という関係、正社員と臨時職、パート、アルバイト、嘱託などという関係もあります。学歴の違いもありますが、これは採用の時に一定の基準を上回っているから経営者や人事担当者が採用したものですから、「高卒だからだめだ、○○大学ではだめなんだよね」などというのはおかしな話です。

 病院や老健施設においても、医師と看護師、医師と患者、看護師と患者、医師・看護師と介護職・一般職員、介護者と被介護者などといった立場や地位の違いがハラスメントの要因になりかねません。

皇帝ナポレオンは「人間を動かす2つのコテがある。それは恐怖と利益である」と言ったそうですが、ハラスメントの諸問題の根本的な原因はここにあると思います。「俺の言うことを聞けばほうびをやる」と。しかしナポレオンは成功したでしょうか?最後は島流しにあいました。

「私はこの2つに『尊敬』を加えたい。『リーダーは、利益と尊敬と、少しの恐怖で組織を動かしていくべきで、その潤滑油が『笑い(ユーモア)』だ」と言ったのは元プロ野球監督の野村克也さんです。「少しの恐怖」とは叱咤激励と適切な指導ということだと思います。そうやって組織を動かしていく上での潤滑油が笑い、ユーモア、これも必要です。また「利益」とは正しい評価と言えます。皆さんもこのことを覚えておいてください。

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(つづく)

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