ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その7)

2014年1月14日|

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:家族と社会的ネットワークに対して】

 ハラスメントが家族と社会的ネットワークに及ぼす影響には次のようなものがあります。

 ○集会の回避

 ○体調不良と病気の訴え

 ○社会参加を放棄

 ○家族と疎遠

 ○他の仕事に適正を得ることが困難

 ○父親、配偶者、息子/娘としての役割と責任の放棄

 ○家族問題に耐えられなくなる

 ○交友関係の希薄化

 ○収入の喪失

 ○共同作業を放棄

 ○婚姻問題と離婚

 ○医療費の増加

 ○怒りを爆発

 ○暴力

 ○子供の学業成績が低下

 私は家庭裁判所でも仕事をしていますが、時折離婚の問題や、離婚後の紛争調整などをする中で話を聞いてみると、一方が・・・特に男性が多いのですが・・・、うつ病の人がおられて、「ご主人がうつ病で、ずっと耐えてきて、子供にも『お父さんは病気だから』と耐えさせてきたけど、私も辛い、自由が欲しい」と奥様が離婚を決意したという事もあります。

 また、子供が進学の時に「お父さん、どうしようか?」と聞いてもそれに集中できない。家族が本当に必要な時、本当に意見が必要な時にそれができない、そんな問題があります。

 このようにハラスメントは職場だけでなく、個人的にも様々な影響を及ぼします。大変辛いものです。

 

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:事業主に及ぼしうる影響(損失)】

 ハラスメントは事業主にも影響を及ぼします。まず退職金が増えます。中には「うちは3年以内に辞める者が多いから退職金は払いませんよ」という人もいますが、それはおかしな話です。また企業イメージが悪化します。辞めた理由が業務に起因していて、その人が労災請求したり、また民事的に請求すると企業の名前が出てくる場合もあります。訴訟費用も発生します。

 また優秀な人材が本来の仕事ができない状態になると、他の施設よりサービスが低下し、競争力も下がります。仕事に適さない人材が増加すれば、一部の人に過重な負担がかかるという悪循環に陥ります。そうすると従業員の転職率が増加につながってしまいます。

 ハラスメントの状態が続くと、「それを見るのが忍びない」と有能な人も辞めていきます。生産性は低下し、意欲や満足度、創造力も低下します。配置換えや新人の採用を何度も行うとその費用や時間も必要になります。

 

【ハラスメントが生活の質と社会的負担に及ぼす影響:社会的負担に及ぼす影響】

 社会全体を見ますと、早期退職給付や能力障害、失業による高負担などにより、福祉の負担が増大することから、社会全体が被害を受けることになります。国がメンタルヘルス対策を進めていく理由の一つに、少子高齢化が進んで、労働人口が減っていく中で、いろいろな労働問題や職場の問題で職場を離れていく人たちが増えると、労働人口がさらに減り、そのために国全体が停滞しかねないという恐れがあるからです。それでやらなくちゃならないということで国をあげて取り組んでいるわけです。しかしなかなか難しい問題です。

IMG_8934.JPG(つづく)

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