認知症の方の権利擁護学びました(看護・介護部会:その9)

2015年3月26日|

 このように、高齢者虐待や不適切なケアの防止策について学習したのに続き、社会福祉法人凌雲堂特別養護老人ホームしらふじの施設長、浜砂貴美子先生は、虐待を受けやすい高齢者の特徴として、次の6点などがあることをスライドに示しました。

 

【虐待を受けやすい高齢者の特徴】

1.認知症による言動の混乱がある(周辺症状が顕著) 

2.自傷他害の恐れがある

3.身体的自立度が低い

4.排泄介助の困難

5.治療器具を使っている

6.性格  ・・・等

 

 そしてこの中で特に認知症高齢者が虐待を受けやすい点について言及。認知症とは「一度獲得した知的機能全般が、脳の病気などによって障害され、日常生活に支障をきたしている状態。認知症は通常、慢性あるいは進行性の脳の疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、概念、理解、計算、学習、言語、判断などの多数の高次脳機能の障害からなる症候群」ということをおさらいした上で、浜砂先生は自施設で実際に取り組んだ事例を紹介しました。

不安や混乱を来していた認知症の利用者に対し、認知症のためのアセスメントツール「D-4シート」を活用して不安や混乱、気分の変化の様子、そしてスタッフの関わり方とその時のケア内容などを記録、分析。これに基づきケアのあり方を見直し、落ち着かないときは「私はここにいますよ」と声掛けをしたり、落ち着いている時でも一言二言の何気ない会話をこまめに行うといった「先取りケア」を実践した結果、その利用者が安心して穏やかに過ごせるようになったことが紹介されると、受講者は高い関心を示しながら聞き入っていました。

そんな受講者を見渡しながら浜砂先生は、「今の事例は全ての人に通用する者ではありません。その人その人をよく観察し、正しく評価した上でその人に合ったケアの質を高めていかなければなりません」と、個別ケアの質が大事だと訴えました。

IMG_9771.JPG

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ