褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その9)

2014年6月26日|

【34.褥瘡治療の実際(4)

 

 「深い褥瘡の急性期には、炎症を落ち着かせる治療が必要です」と古賀総合病院皮膚科部長の津守伸一郎先生。デブリードマンで死んだ組織を切除し、壊死組織の洗浄、抗菌剤の外用などの処置を行い、「ある程度肉が出てくるような感じになってきたら、いわゆる『ラップ療法』をやってみるといいと思います」。同病院で穴あきポリエチレンを紙おむつに貼ったものを使用して治療している様子をスライドに示しました。浸出液が穴を通っておむつに吸収されている写真を見せながら、「最初の頃のラップ療法は、サランラップだけを当てていましたが、それだと浸出液がその周りからあふれ出てきて汚かったわけです。それに対し、穴あきポリエチレンを用いることで、浸出液のコントロールができるようになっていますので、こういう方法がいいのではないかと思います」と説明しました。そして「しつこく言いますが、こうやって治療している間、大事なのはキズをちゃんと洗うこと、そして徐圧・体位交換きちんとすることです」と繰り返しました。非常に大きくて深い褥瘡が治っていく実例を見ながら、参加者は津守先生の話を食い入るように聞いていました。

 また、交換のポイントについては、「浸出液をコントロールすることが大事ですから、1回の入念な処置を11回するよりも、そこそこでもいいから綺麗にして、こまめに交換することで浸出液をためない方がキズはきれいになります」として、通常のおむつ交換時を利用することを提唱しました。

 その後ビデオや写真を使って様々な症例における治療(殿部の深い褥瘡の治療経過、黄色期から赤色期の処置、下腿の感染を伴う褥瘡の治療経過、赤色期になってからの処置、多発した褥瘡の治療、糖尿病性潰瘍に対する治療、湯たんぽやけどなど)の実際について紹介がありました。このうち、かかとにできた糖尿病性潰瘍のため、踵骨まで腐骨化した症例では、生理用ナプキンを利用した治療法が紹介され、「生理用ナプキンは逆戻りしないのが一番のメリットでサラサラしています。大きなかかとのキズですが、洗って生理用ナプキンを直接当てていくうちにきれいになってきました」と述べつつ、「これもちゃんとした被覆材の理解、そしてちゃんとしたやり方をするのであれば、こういう方法もあると思います」と注意を促しました。

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(つづく)

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