「食べられる口」学びました(リハ部会研修会:その2)

2017年3月1日|

001BQ8V8264 関連施設であるメディケア盛年館の入所では、訪問歯科や歯科受診にて平成25年から7月から28年5月までで216名の方が治療を実施されています。また地域ケア会議に参加させていただく中で思うことは、プラン前のアセスメントは大切だと感じます。摂食嚥下機能の目安になる基本リストとして、

(1)半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか?

(2)お茶や汁物等でむせることがありますか?

(3)口の渇きが気になりますか?002BQ8V8269

 つまり、かみにくい=咀嚼機能の問い、むせ=嚥下(飲み込み)機能の問い、口の渇き=口が渇くと口腔内の細菌叢が変わる為、肺炎や上気道感染リスクを問う、ものになりますので、しっかり聞き分け判断することが大事になります。003BQ8V8268

 摂食嚥下機能障害がもたらすものとして、低栄養や脱水、誤嚥や窒息、転倒や閉じこもり、気道感染(誤嚥性肺炎)がありますので、口の中を観察して評価し情報を共有することがリスク低減につながるものと考えます。

 口腔細菌が関与する全身の病気として誤嚥性肺炎がありますが、平成23年には死因の第3位になりました。誤嚥性肺炎は口の中の細菌が肺や気管に入って起きることで1年中いつでも起こり再発を繰り返します。反対に考えると口の中飲み込む菌を減らすと肺炎になりにくいということになります。なぜ、口の中の細菌が肺に入るのかということですが、004BQ8V8262

(1)通常食道へ行くべき食べ物が誤って気管へ入ってしまう。

(2)細菌を含んだ唾液が誤って肺に入ってしまう。

(3)胃液から食道への逆流に伴って入る

ということで、姿勢が大事になってきます。誤嚥性肺炎になると、元気がなかったり発熱や咳、痰、呼吸状態の悪化などみられます。高齢者になると訴えが少なく自覚症状がでにくいので日頃の観察や気づきは大切です。誤嚥性肺炎防止姿勢角度は30度と言われ、頭部挙上などタオル等で調整し、顎を引き軽くうなずく程度に調整していただくといいと思います。005BQ8V8281

 歯科清掃用具としてブラシや低刺激オーラルケア用品等、吸引器使用の口腔清掃の様子、舌苔清掃用具、口腔清掃時の装備、音波電動ブラシの取り組みなどの紹介や実際に商品に触れたり口腔内改善例を示しながら紹介いただきました。

 ひとくち30回とは噛む回数のことで、

(1)よく噛むと唾液が増える

(2)肥満予防・認知症予防

(3)脳の血流も良くなる

といわれています。普段私たちは口を閉めていますが、歯は当たっていません。1日3回の食事1時間としても上と下の歯が当たっている時間というのは約9分程、唾液を飲み込む時間とを合わせると1日約18.5分間しか当たっていないとの事。よく噛むというのは、強く噛む事ではなく噛む回数を増やす事です。口腔内改善や肥満、認知症などの予防や改善に、意識して噛む習慣をつけていきましょう。007BQ8V8289

 8020運動というのを知っていますか。8020運動とは、1989年(平成元年)より厚生省(当時)と日本歯科医師会が推進している「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。食べることは命を支える大切なことです。20本以上あればほとんどの食べ物を嚙み砕き味を楽しむことができます。自分の歯は何本あるか知っていますか?日頃から自分の体を知ることは大事です。私たちは食べ物を舌に乗せただけでは味を味わうことはできません、噛むことで味わうことができますので、今残っている歯を残していただき、できるだけ最後まで自分の口から食べられるようにしていただけたらと思います。006BQ8V8276

 自分の事(口)を知る観点からも鏡やペーパーの位置など、自分で見やすく利用し易いように利用者様の目線でみる環境づくりも大切なことだと思います。物品管理も工夫し気付きや感染防止の点からも環境づくりを行いましょう。大切なことは口の中の観察から、確実な口腔清掃を徹底することです。食べることは命を支える大切な事であり、すべては口から始まります。口から食事を摂って、噛んで飲み込みます。そこから健康につながることに波及していきます。008BQ8V8261

 何かを変える事や変わることはすごく大変だと思います。変わることで利用者様が気持ちよく過ごすことができるのであれば、変わる必要があるのではないでしょうか?と多職種との連携や理解、継続と取り組むことが口腔内の改善につながります。と、口腔ケアの大切さや多職種での連携のあり方など学びました。009BQ8V8287 010BQ8V8254

(つづく)

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