「リハ栄養」学びました(栄養・給食部会:その1)

2017年5月17日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は5月13日、宮崎市の潤和リハビリテーション財団本部で研修会を開きました。20名が参加し「リハビリテーション栄養」について学びました。

 今回講師にお招きしたのは株式会社クリニコ(http://www.clinico.co.jp/)の企画情報部の吉村俊一郎課長。同社は森永乳業グループ病態栄養部門として、予防・治療・介護などを通じ、一人ひとりの豊かな「Quality of Life」に向き合った事業を展開しています。この日は「1.リハビリテーション栄養とは」、「2.サルコペニアとは」、「3.リハ効果を高める栄養療法とは」、「リハ栄養の実践報告」という流れで進められました。

 リハビリテーション栄養(リハ栄養)とは「ICF(国際生活機能分類)による全人的評価と、栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、リハ栄養診断、ゴールの設定を行ったうえで、障害者やフレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・フレイルを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高める『リハからみた栄養管理』や『栄養からみたリハ』である」と定義されているとのこと。これを踏まえて、リハ栄養のケアプロセスや効果等について説明がありました。

 その中で、入院時に栄養障害を認める人は、入院時FIM(※(Functional Independence Measure、機能的自立度評価表、日常生活活動能力を評価するための方法)も低く、FIM利得も小さい上に自宅復帰率も低いとのことでした。これに対して入院時に低栄養であっても、栄養改善することによりFIMの向上ができると、栄養改善による効果がデータを用いて示されると、受講者は高い関心を払いながら聞き入っていました。

 続いて「進行性、全身性に認める筋肉量減少と筋力減少であり、身体機能の障害、QOLの低下、死亡のリスク」となる「サルコペニア」の説明では運動器系のトラブルだけでなく、内部障害も引き起こし、ADL低下はもとより、死亡リスクの上昇にもつながることなどが最近の研究で報告されていることなどが解説されました。

 サルコペニアの原因には原発性である加齢に加え、二次性の活動(廃用性筋萎縮、不活動、無重力)、栄養(飢餓、エネルギー、摂取量不足)、疾患(侵襲、悪液質、神経筋疾患)などがあり、それらの対応のうち、栄養面に対しては栄養改善を考慮した適切な栄養管理が重要であるともに、飢餓の場合は加齢によるサルコペニアに最有効なレジスタンストレーニングは禁忌であることなどが指摘されました。

(つづく)

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