栄冠は誰に輝く?

2012年7月10日|

 甲子園と言えば、やっぱり春より夏でしょうか。暑いときに見ると、より熱くなります。ただし熱中症にはご用心。今年もその県予選が始まりました。

 「白球の残像」は、阪本浩一の作品。昭和63年に講談社から出ていますから、もう四半世紀前の、甲子園を舞台にしたミステリーです。ある名門強豪校、とにかく打線が強力。しかも、ピッチャーが投げる球種を「コンピューター」のように読み切ってしまう。サインを変えても無駄。どのバッターも、来た球を「条件反射」のように叩き返し、ヒットを量産、得点を積み上げるのだ。彼らは天才集団なのか・・・・・?答は「否!」。実はそれには驚くべきからくりがあったのだった。そのからくりのために尊い命が犠牲になり、純粋に白球を追う甲子園球児達の汗が、あろうことか野球賭博に利用されてしまうのだ。

 作品の中盤までは、そのからくりがまったくわかりませんが、それが解き明かされると驚きです。「はあーーーっ(-_-)、勝つためにそこまでやるかよ!?」と憤りを禁じ得ませんが、それを考えついた著者の力量には脱帽です。さすがは第34回江戸川乱歩賞受賞作です。

 ただし、そこは四半世紀前。ストレートとカーブが主流の時代だったから成り立った作品かもしれません。「高速」スライダーや、手元で小さく変化する球種を高校生が投げる現在の投球術では、通用しないからくりでしょう。興味がある方はご一読を。

 それはさておき、この夏、甲子園への切符を手にするのはどこの高校でしょうか。そしてそして、その大舞台でどんな活躍を見せてくれるでしょうか?いまだ全国制覇を成し遂げていない我が県。「今年こそは!」と願って止まない県民は、私だけではないはずです。

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