研修会開きました(栄養給食部会:その1)

2012年11月16日|

 (社)宮崎県老人保健施設協会栄養給食研究部会は118日、宮崎市のひむか苑会議室で研修会を開きました。30名が受講し、講話や研究発表等を通じて研鑽を深めました。

 研修会ではまず、株式会社明治メディカル栄養事業部学術グループの金井正敏さんによる「病態別流動食と経腸栄養」と題した講話がありました。講話は(1)栄養投与ルート、(2)投与量の決定、(3)経腸栄養の下痢について、(4)各病態での栄養管理と栄養剤の選択・・・の4項目について、資料を用いて進められました。

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 まず(1)栄養投与ルートについて。経腸栄養法と静脈栄養法の特徴や両者の比較、栄養管理方法の種類と選択の基準などを踏まえ、栄養管理方法のガイドラインとして「可能な限り経腸栄養を用いる。静脈栄養は、経腸栄養または経口摂取が不可能または不十分な場合に用いられる」ということを学びました。

 次に(2)投与量の決定について。エネルギー、たんぱく質、水分のそれぞれについての必要量を、その計算式を交えて説明がありました。その上で、たんぱく質(アミノ酸)がたんぱく合成に利用されるためには、十分なエネルギーが必要であることや、流動食の総量と水分量は異なること、また脱水の見分け方や脱水の影響を受ける検査項目などが示されました。さらに、食塩を流動食に混ぜると、瞬間的にたんぱく質周囲の水分子が食塩に引きつけられ、たんぱく質が不安定となって増粘、凝固する「塩析」が生じるため、「流動食には混ぜず、白湯と一緒に投与しなければならない」と金井さんは強調しました。

 そして、(3)経腸栄養の下痢について。その原因として(a)栄養剤の投与速度(が速すぎる)、(b)栄養剤の細菌汚染、(c)低栄養・絶食、(d)薬剤(抗生物質、抗がん剤、制酸剤など)、(e)腸内環境の異常・・・などがあり、それぞれの対応策について図を用いて説明がありました。その中で、抗生物質と下痢との関係について金井さんは、抗生物質治療を受ける約20%から30%の患者に下痢がみられるというデータを示し、「抗生物質投与時は、同時に腸内細菌叢に配慮することが大事だ」と指摘しました。

 最後に(4)各病態での栄養管理と栄養剤の選択について。炎症性腸疾患や糖尿病、慢性腎臓病、COPD、肝疾患など、疾患の特徴とその栄養管理についてそれぞれ学習しました。

 講話のまとめとして金井さんは、

1〕経腸栄養実施時は状態を観察しつつ、各個々人に合わせた適切な量を投与する

2〕下痢は経腸栄養の合併症で最も多いものの一つ。原因は多岐にわたるが、投与速度に由来するものが多い

3〕各病態について理解した上で、適切な栄養管理法を選択することで、栄養状態の改善、病状の進行抑制、QOLの改善などをはかることができる

3点を挙げ、経腸栄養実施時における栄養管理の重要性を訴えました。

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(続く)

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