見通し少し明るい!?

2012年12月6日|

 月も出ぬ暗い夜でした。寂しい山の細道を途方に暮れた男が一人、とぼとぼと歩いていますと、はるか遠く、森の奥のそのまた奥に、今にも消えそうな明かりひとつ、ぽつんと灯っていたのでございました。「おお、なんともありがたいことだよ。今夜はあの家に泊めてもらうこととしよう」・・・。男は明かりに誘われるままに、棒になったような重い足を一歩、また一歩と引きずっていったのでした・・・

 

・・・といったようなくだりが、昔話にはしばしば登場しますが、高齢化が一層進むと言われている我が国において、何だか明るいともしびになるような話題を、1119日付けの日本経済新聞に見つけました。「生活」の「会社員”次”の生き方:ロングライフ見据えて」のコーナーに、「運動で心と体を磨く ?限界に挑み、充足感得る?」という見出しがあったのです。

 フルマラソンやボクシングなど、過酷なイメージのあるスポーツに取り組む中高年が増えているのだそうです。しかも健康のために楽しくやるというのではなく、とことん体を酷使し、自分の限界に挑んでいるというからすごい(^o^)

 「仕事もオフも一生懸命でいたい」とボクシングに打ち込み、タバコをやめて往復50キロメートルの自転車通勤で減量する50代の会社社長。早朝からトライアスロンの練習に取り組む40代の会社員。「自分の体が進化している実感がある」と朝5時半に起きて5キロメートル、週に1度は14キロメートルもの帰宅ランをする弁護士・・・。その道で生計を立てるわけじゃないけど、決して生半可じゃない。それぞれの競技で自らの肉体を追い込み、心を磨く。そんな中高年の姿が紹介されていました。会社の屋上で、昼休みにバレーボールを楽しんでいた、古き良き昭和のサラリーマンの姿とは全くかけはなれています。「『一生懸命になれる時間』を持つことで心の充足を得ているようだ」と同紙は分析していました。

 また、ランニングを週2回以上している割合の統計も載っていました。40歳代男性は10年前の10倍に増加していると、その熱心さが示されていました。どうりで各地のマラソン大会、参加者総数も増えたし、とりわけ中年層がやたら目立つようになりました。「大会や練習を通して、日常の中で仕事以外の達成感を味わいたいのでは」との専門家のコメントが紹介されていました。かつてはフルマラソンなんて、実業団の一流ランナー等、ほんの一握りの選ばれた者達が走るものと思われるふしもありましたが、今や参加申し込みをしても抽選で当たらなければ走れない大会もあり、「マラソン難民」などという用語まで生まれるほどに、フルマラソンは大衆化してきました。

 このように、自分の体を酷使して運動に打ち込み、心と体を鍛え上げる人達がどんどん増えて来ると、この先どうなるか?単純に考えると、「心も体もがんがんに鍛え上げた、壮健な高齢者がどんどん増える」ということになるのではないでしょうか?今後の日本社会にとって、一つの明るい話題ではないか?そう思った記事でした。

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