全国大会埼玉開かれました(その3)

2018年10月29日|

 開会式、表彰式が終わり、「介護をめぐる課題と展望」と題し、厚生労働省老健局の大島一博局長による特別講演がありました。

 まず「介護サービスの市場を作る」、そして「介護を社会化する」を大目標に西暦2000年に導入された介護保険について、サービス利用者の推移やわずか24年で高齢社会に突入した我が国の現状、また家族形態が変化し単身化が進んでいることおよび4割近くが非正規雇用になっている雇用環境の変化などについてスライドを用いて説明がありました。

 その上で今後の見込みについて、人口減少が進み2100年には明治時代の水準になるものの、その構成比率は大きく異なり高齢者は2040年まで増え続けることに触れながら「全世代型社会保障」の重要性に言及。その柱として(1)少子化克服のための待機児童対策、働き方改革、子育て費用の軽減、(2)人生100年時代を見据えた「複線型人生」のための生涯現役の応援およびその基礎となる健康長寿、リカレント教育(学び直し)の普及、働き方に中立な社会保障(社会保険の適用拡大)、(3)世代間バランス、世代内バランスなど給付と負担のバランス・・・の3つを挙げました。

 それらについて説明を加えながら講演が進み、大島局長は介護保険のあり方として「もとの暮らしに戻ることへの支援」、「生活課題の解決への支援」、「自分でできることを奪わないケア」を示し、そのために他職種によるケアプラン検討会・勉強会や地区分析と住民出前説明会、要介護認定申請に隠れたニーズの発見と対応、他分野への展開などといった取り組みの必要性を強調しました。

 地域包括ケアシステムの整備を縦軸に、そして地域作り(地域共生社会)を横軸にした総合的な取り組みを展開する中で、介護老人保健施設の果たすべき役割の重要性を再認識することができた、大変有意義な講演となりました。

(つづく)

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