研修会開きました(支援相談員部会:その3)

2013年2月5日|

 講演は介護過誤、つまり過失が認められた場合の責任問題に移りました。この責任には〔?〕道義的責任と、〔?〕法的責任とがあり、法的責任にはさらに(1)民事上の責任、(2)刑事上の責任、(3)行政上の責任・・・の3つがあるそうです。

〔?〕道義的責任・・・これは法律によって追求されない倫理上の責任。新井弁護士は「交通事故の際、『先に誤った方が負け』と言われますが、これは間違いです。事故後の言葉によって過失があったかどうかは決められるものではなく、その時何が起こったかが問題になります。むしろ謝罪がないことの方が悪くなります。謝罪はすべきですが、注意しなければならないのは謝罪のしかた。どのくらいの事故で報告、謝罪するのか?誰がどのように謝罪するのかをよく考えて、くれぐれも家族の感情を逆撫でしないようにして下さい」と注意を促しました。

〔?〕法的責任

(1)民事上の責任(損害賠償責任)・・・法律上、損害賠償を支払うのは事業者と職員どちらでもよく、家族はそのどちらか、あるいはその双方に自由に請求できるそうです。ただし、 職員は資力が十分でないことや、事業者には保険会社がついていることなどから、通常は事業者の責任を追及することが多いとのことです。

(2)刑事上の責任・・・基本的には当事者である職員が責任を問われることになりますが、火災事故などの場合には施設長や理事長の刑事責任が追求されるとのことで、その実例を紹介しながら説明がありました。

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 ただし、近年問題になっている高齢者虐待の場合は、「過失犯ではなく故意犯として処罰され、刑が重くなります。身体的虐待だと傷害罪や傷害致死罪をはじめ、(身体拘束したことによる)逮捕監禁罪などがあります。強制わいせつ罪もあります。経済的虐待だと窃盗罪や業務上横領罪などとなります」と、過失犯と故意犯について両者の刑罰の違いを比較しながら説明すると、受講者は身を乗り出して聞き入っていました。

(3)行政上の責任・・・事業者に対しては勧告や公表、措置命令、許可取り消しなどがあり、職員に対しては介護福祉士の登録取消などがあるとのことでした。

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 引き続き、損害賠償の理論について、債務不履行(事業者の契約違反)、不法行為(職員・事業者)、過失相殺や損害の範囲、さらに医療過誤との違いについて学びました。

(続く)

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