入浴中の急死

2013年2月14日|

 23日の宮崎日日新聞の1面。入浴中に急死される人が年間17千人にも上るという記事が載っていました。何とも痛ましく、悲しく、そして重たい数字です。

 これは東京都健康長寿医療センター研究所が推計したもの。「入浴関連死」と呼ばれ、高齢者が入浴中に意識障害を起こしておぼれたり、脳卒中や心筋梗塞により急死したりすることを言うのだそうですが、それが全国で年間17千人。あまりにも多すぎる数であり、本来ならば楽しく快適であるはずの「バスタイム」が、実は死の危険と背中合わせであるということを、数字は示しているように思います。記事によれば、厚生労働省は具体的な発症要因を探り、防止策につなげるべく実態把握を進める方針だそうです。

 大沢在昌の小説『ダブル・トラップ』(集英社)の中で、主人公の加賀哲とその妻、美里が交通事故に遭い、妻が死亡するのですが、それを主人公は「事故にあったとき、私達が数字に含まれた。死者一・・・私の妻、美里が数字にかわった」と表現しています。尊い命が数字に置き換えられる事の虚しさを改めて思い知らされました。

 老健施設に勤める者の一人として、安全で楽しく快適な入浴を提供する責任の重さを痛感した記事でした。

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