CO2とYO2

2013年5月14日|

  地球温暖化の進行を防止するため世界レベルで排出削減への取り組みが行われているのはCO2、すなわち二酸化炭素です(2は小さい文字ですね)。それでは老健施設にとどまらず介護の現場・・・いやいや、国をあげて発症防止に取り組まなければならないもの(のひとつ)とは何か?・・・それはYO2です。え?それは何かって?

 それはYO2だから”よおーツー”、つまり「腰痛」です。などとダジャレを言っている場合ではないのです。事態は深刻です。328日の朝日新聞の1面トップには全国で推定2800万人が腰痛で、40歳から60歳代の約4割の人が悩んでいるという厚生労働省研究班の調査結果が掲載されていました。これは半端じゃない数字です。

それだけではありません。49日の同紙には「現代の国民病」とも言われる腰痛、その大半が原因不明で、マイナス思考やストレスなど、悲観的だと長引く場合もあると報じていました。これだけ多くの人が苦しまされているのに原因不明とは。

これが介護の現場になるとどうなるか?426日の宮崎日日新聞には愕然とする事実が載っていました。「抱え上げず用具活用を 増える介護職員の腰痛」という見出しの記事には、ある老健施設が直面した問題から切り込んでいました。腰痛による休業者が8人にも上り、空きベッドはあるのに職員不足で入所の受け入れができなくなったというのです。

これに続いて、4日以上の休業が必要な腰痛は2011年に4,822件発生し、職業性疾病の6割を占め、これが社会福祉施設での発生となると1,002件、2002年の2.7倍に増えたのだと書いてありました。

このようなことから、国が20年ぶりに腰痛予防対策指針を見直すことになったとのこと。具体的にはリフトなどの用具の積極的使用をすすめたり、腰痛と関連が深いとされる職場のストレス対策を求める方針だそうです。

「仕事が原因の腰痛対策で個人にできることは限られている。職場全体で取り組まないと改善できない」という専門家のコメントが紹介されていましたが、まさにその通りだと思います。せっかく希望とやる気をもって介護の現場で働き出したのに、腰痛が原因で職場を去らざるを得なくなった人の話を聞くたびに胸が痛みます。「腰の痛みに胸が痛む」・・・決して冗談ではありません。

CO2はもちろん、YO2の抱えるこの現状、国民レベルで考えていかないと事態はますます深刻化する・・・。そういう危機感を抱いている人も少なくないのではないでしょうか。

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