難山に挑もう!

2013年6月18日|

 「かたつむり 登らば登れ 富士の山・・・」という、超弩級でビッグスケールで桁違いに大きい歌詞を男気ムンムンに”サンキュゥー!!”と歌い上げるのは作曲を手がけた堀内孝雄さん。「惜春会」というこの歌、作詞はこれまたビッグな小椋佳さんです。『NHKラジオ深夜便』の中で「深夜便の歌」として放送されたこの歌、初めて聴いた時はぶったまげました。カタツムリが富士登山とは(゜◇゜)。

 しかし、それ以上にすごーい!と思ったのは、ご存知三浦雄一郎さん。80歳という史上最高齢で世界最高峰のエベレスト登頂に成功するなんて、どのような言葉で称讃すればいいのかすら迷ってしまいます。

 三浦さんを見習って頑張ろう!と思っても、まさかエベレストに登ることはとても無理。524日付けの朝日新聞には「高齢者 伸びる体力」との見出しで、65歳から79歳男性の6分間の歩行距離や75歳から79歳女性の10メートル障害物歩行で、それぞれ10年前より成績が向上した、という文部科学省が昨年公表した調査結果が紹介されていました。老健施設に勤める者として、高齢者の健康増進のために頑張ろう!と思いました。

 それはそうと、わざわざエベレストまで行かなくとも、自宅にいながらエベレストをしのぐような「難山」に挑戦できる!という記事が516日の同紙に掲載されていました。と言っても庭の砂山に登るわけではありません。

 「一尺八寸山・月出山岳 読めますか?」という見出しのその記事。”読み方が難しい山”がある自治体が大分県に集まって10月に「日本全国難読山サミット」を開くのだそうです。そうです。「昇るのが難しい山」のではなく、「読むのが難しい山」という意味での「難山」です。

 (1)一寸八尺山、(2)爺爺岳、(3)月出山岳、(4)雲母峰・・・・・というふうに、記事では「日本異様難読山名コンテスト」のベスト20が紹介されていました。1つ」を除いて全く読めませんでした。ほんとに難しいです。ちなみに(1)「みおうやま」、(2)「ちゃちゃだけ」、(3)「かんとうだけ」、(4)「きららみね」、だそうです。わからんわー(>_<)。「エベレスト」を「エレベスト」と間違う程度のもんじゃあありません。恐るべし、日本の「難山」。

 ちなみに「1つ」だけ読めたというその山は・・・。そうです、郷土宮崎の名峰「行縢山」です。よみかたはご存知、「むかばきやま」です。第19位にランクインされていました。ちなみに「行縢」という言葉は『広辞苑』にも載っていますので、興味がある方はひもといてみて下さい。

 サミットでは同県にある難読ナンバーワンの一尺八寸山(707メートル)と、ナンバー3の月出山岳(690メートル)に登ったり、地域おこしをテーマにしたシンポジウムを開催したりするとのこと。二山重ねても1397メートル。登山愛好家でなくとも「ヤッホー」と楽しめそうなイベントです。「行縢」を身につけて、参加してみようかな?

 ところで、最初に紹介した「惜春会」という歌。これはすごい名曲です。初老と思われる男性がこの曲の主人公です。小椋佳さんが69歳ですから、そのくらいでしょうか。介護保険の認定はおそらくまだ受けてないものの、自らの老い衰えを「もうこんなになってしまったのか」と嘆いたり、残る命に「まだまだ死にはしないわい!」と奮起したりしているその人が、年に一度、旧友達と集まる「惜春会」に参加します。近況を報告し合ったり、昔話に花が咲いたりしますが、一方では友の訃報を聞いてショックを受け、「散る桜 残る桜も 散る桜」と、良寛の辞世の句を思い浮かべてみたりします。そうこうして盛会裏に終わった惜春会。「来年会おう!また一年無事でいような!」と別れていく主人公が、最後につぶやくのが冒頭の言葉。「かたつむり登らば登れ 富士の山 悠々と祭り創りの 日々であれ 日々であれ」と繰り返します。ここの部分のリズムとメロディーがこれまたいいのです。本当にカタツムリが富士の登頂を目指しているような、ゆっくりと、しかし確実に刻まれる印象深い調べです。さすが堀内孝雄さん!何度聴いてもジーンとします。そしてこの曲は、老健施設に勤める人であればぜひ、ぜひ、ぜーひヽ(^o^)丿!聴いてほしいと思います。

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