研修会開きました(看護・介護部会 その3)

2013年7月22日|

 日本褥瘡(じょくそう)学会は設立して12年目を迎えているそうです。「『きず』を表す『そう』の文字には『瘡』と『創』の2つがあり、”褥瘡”、あるいは”褥創”と書いたりしますが、学会では『瘡』を使っています」と緒方先生。それは、「瘡」が内部要因による壊死や痂疲(かひ:かさぶた)、おでき、痤瘡、狼瘡、天疱瘡などを示すのに対し、「創」は切り傷や刀創など、外傷によるきずを示すからだそうです。そういう意味合いから緒方先生は、「褥瘡は切り創のような単純なものではありません。奥が深く、トータルケアが必要な潰瘍です」と強調しました。

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 この事を踏まえ、切り創と比較した褥瘡の特徴として、(1)原因が圧力やせん断応力、病的骨突出、低栄養など複雑である、(2)壊死組織が必発である、(3)治癒経過が長く難治性である、(4)予防にはトータルケアが必要・・・などを挙げました。その上で「原因となっている圧迫に色々な形がありますが、患者さんをよく観察すればどうしたらこのような圧迫が起こるかがわかります。だから、病院に行かなくても毎日見ている皆さんが最初に気付くことができます。そして大事なのは反復する圧迫が加わると状況が悪くなり、短時間で褥瘡が起こり、治るのにも時間がかかるということです」と毎日利用者を観察し、状態を把握することが褥瘡予防に極めて重要であることを示しました。

 また、感染性褥瘡については汚染と感染の違いを踏まえた上で、「ちょっとぐらい菌がつく(汚染)はやむを得ないが、菌が増殖してそれが周りの死んでいない組織にまで広がっていくのが一番困るわけで、その時に圧迫が加わっていると、どんどん広がっていってしまいます」と、除圧と局所の乾燥および清潔の重要性を訴えました。

 そしてもう一度「褥瘡は長時間の圧迫を原因として、骨と体表の間の皮膚・軟部組織に生じる虚血性壊死によって生じる『きず』とのこと。そして、健康者は無意識のうちに自然に体位変換して予防しているものの、体位変換が自然にできない状態になると褥瘡が生じる」とおさらいした上で、「褥瘡は悪化させず、治癒させることも可能です」と参加者を見渡しながら断言しました。

(つづく)

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