十三里(なぜ甘藷をそう呼ぶのか?)

2013年9月24日|

  97日の宮崎日日新聞。「香港に売り込め 本県訪問団の報告(中)」という記事に、香港で宮崎県産の甘藷(かんしょ)がとんでもない人気であることが紹介されていました。香港の百貨店で行われた本県産品をPRする物産展会場で、県産甘藷を使った焼き芋を求め、買い物客が長い列ができたのだそうです。

 本県の香港輸出農産物のうち、甘藷が占めるのはなんと9割(゜◇゜)。味の良さはもちろん、台所が狭い香港の住宅事情に合わせ、サイズが小さいものを輸出しているのが人気の理由とのこと。「他県の物は絶対に食べない」というその百貨店の関係者の談話も紹介されており、改めてそのすごさを実感しました。「甘藷に続け!」と他の宮崎ブランド品もどんどん海を越えて行くといいと思いました。

 さて、この甘藷、すなわちサツマイモのことを「十三里(じゅうさんり)」と呼ぶのをご存知でしょうか。つまり52キロメートルですね(厳密には51.0549km)。しかし距離とは関係ありません。その理由は『広辞苑』に書いてあります。「じゅうさんり【十三里】:(九里四里〈栗より〉うまいのしゃれ)さつま芋の称」・・・。つまり”栗より”を九里(くり)、そして四里(より)ともじって足して合計十三里としたわけです。なかなかしゃれっ気のある先人がいたものです。

 だけど、本当に甘藷は栗より美味しいのでしょうか?そんな風に言われたら、栗だって黙ってはいないはずです。宮崎県は栗の産地でもあり、先日は西臼杵郡での出荷の模様がテレビで紹介されていました。それを見ているだけで垂涎(すいぜん:食物を欲しがってよだれをたらすこと)ものです。名曲「里の秋」の中では、お母さんがいろり端で栗の実を煮ています。なんとも叙情的で、なおかつ美味しそうな光景が思い浮かびます。

 「甘藷も栗もどっちも美味しい!」それが個人的な見解です。実りの秋、そして食欲の秋。これらの他にもいろんな美味しい物がとれる宮崎の秋。宮崎県のいろんな秋の味覚を、利用者様にも堪能して、喜んでもらいたいと思います。

 なお、本県の伝統的お菓子の一つ、「ねりくり」は、ご周知の通り「ねり栗」ではありません。「栗」を練ったものではなく、「甘藷」を練ったものですので老婆心ながら申し添えます。

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