経営セミナー開きました(事務長会:その4)

2013年10月15日|

 さて、今回の改定では特養も療養型も老健も、全ての類型の基本サービス費が引き下げられましたが、老健は在宅復帰・在宅療法支援機能加算が見直されたことから、それが算定できれば要介護3から5の場合は相当分取り戻せると思いましたが、在宅復帰の要件が厳しすぎると感じました。施設内で亡くなった場合、退所者総数には入るけれど、在宅復帰には入っていなかったので条件闘争をやりました。片方で看取りをやりなさいと言いながら、在宅復帰にはならないというのはおかしいと。その結果、死亡者は退所者総数からはずすということになりました。

 もう一つは要介護3451週間家に帰ればいいじゃないかと交渉しました。回復期リハ病棟は1日帰っても在宅復帰なのに、老健は1月以上。どうして医療と介護ではこんなに違うんだ、と。その結果、要介護45の利用者は在宅生活が14日継続すればいいということになりました。少し在宅復帰率が上がる方向で成功したと言えます。これに回転率5パーセント、そして退所した人のうち30パーセントが在宅復帰していれば在宅復帰・在宅療養支援機能加算が算定でき、これまでとトントンで行けるし、要介護45の人の割合が増えればプラスになります、と説明して回りました。もう一つは、「在宅」とは何か?をきちんと出してもらいました。病院、診療所、介護保険3施設、それ以外は在宅です。

  平成246月、つまり改定があって3ヶ月した時に、熊本県老人保健施設協会が行った「介護報酬改定関連加算状況等に関する実態調査(速報)」について話したいと思います。熊本県には87の会員施設があり、そのうち73.6パーセントにあたる64施設から回答があったものです。これによると、全体の22パーセントにあたる14施設が在宅強化型で算定していました。残りの50施設のうち、11施設は在宅復帰・在宅療養支援加算で算定していました。これらがどうして算定できたか?という理由は「利用者・家族との面談を増やすなど積極的に準備を進めてきたため」が12件、「在宅復帰に向けスタッフが意識改革をしたため」が6件などでした。

 また、平成236月および平成246月のそれぞれ1月間に退所された利用者の退所先内訳は、改訂前の平成23年において「自宅等」が48パーセントだったのに対し、平成24年は54パーセントになりました。

 所定疾患施設療養費の算定については、肺炎や尿路感染症、帯状疱疹などが対象ですが、結構施設で治療してもらっているようです。一方、訪問リハビリへの取り組みや1?2時間の通所リハの実施はまだまだのようです。

 次に当園(リバーサイド御薬園)の状況をお話します。自宅復帰率(※報酬算定上の在宅復帰率とは異なる)は平成23年度の4月/5月/6月/7月(以下同)が58.33%50.00%60.00%25.00% だったのに対し、平成24年度は62.50%63.64%66.67%44.44% でした。また平均要介護度は平成23年度の3.673.603.573.56に対し、平成24年は3.163.183.243.22でした。ここのポイントは平均要介護度が下がっているということです。これは加算を取ろうと在宅復帰を進め、回転率を上げていくと、平均要介護度が下がってくる、ということです。

 平成24年度の改訂後の収益を改訂前の月の単位と置き換えた場合の比較(介護職員処遇改善加算分を除く)ですが、4月は従来型基本施設療養費と在宅復帰・在宅療養支援機能加算をとって基本施設療養費で2.32%のマイナス、諸加算分で17.29%のプラスで合計0.42%のプラスとなりました。7月でやっと強化型基本施設療養費をとって4.09%のプラス、諸加算分が4.40%のプラスで合計4.13%のプラスとなりました。

 ところが、請求額(短期入所含む、介護職員処遇改善分除く)で見ると、4月で前年対比746,180円のマイナス(-2.82%)、つまり加算をとってもマイナスです。5月、6月もマイナスで、7月でやっと423,070円のプラス(1.59%)となりました。加算をとるのに職員は大変ですが、やっぱりこんなものです。これが実態です。

 その理由を分析したのですが、一番は平均要介護度が下がったことです。また、回転させますから空きベッドが出て来るということもありますが、それはショートステイでカバーするとしても、やはり平均要介護度が下がったことが一番きつかったです。

(つづく)

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