あれから一年(その2)

2011年8月29日|

  昨年の827日は、宮崎県にとって、本当に待ち望んだ日でした。口蹄疫の終息がついに宣言されたのです。420日に発生が確認され、518日には非常事態宣言。それからは非常とも異常とも言えるような事態に陥りました。薫風がそよぎ、梅雨が軒をしたたり、まぶしい日ざしが肌を刺していたはずなのですが、季節がいくつか抜け落ちたかのような虚無感の中で、時間だけが過ぎていったような気がします。

 あれから一年。経営を再開した被害農家は57%にとどまっているのだそうです(8月末)。季節の足音が蘇った今も(しかし、東日本大震災以降、今年はそれがあまりにも早く感じてしまいます)、口蹄疫が残した傷跡の深さを改めて思い知らされます。

 感染症の恐ろしさは人間も家畜も変わりありません。口蹄疫もこれで未来永劫に発生しないという保証はありません。「過去の病気」と言われた結核でさえも、今なおその存在を誇示しているように。ましてや、口蹄疫の感染経路はいまだに解明されていないのだそうですから、油断できません。

 どこの老健施設でも、感染対策への取り組みは行われていると思いますが、宮崎県民の一人として、また感染症の怖さを知り、日々予防に勤しむ老健職員の一人として、あの惨劇を二度と繰り返さないよう、そして、いつまでも「太陽のメロディー」が降り注ぎ続けるよう、「がんばろう宮崎!」「がんばろう日本!」の気持ちを絶やさぬようにしたいと思います。

« 前のページに戻る

TOPへ