ターミナルケア学びました(看護介護部会:その5)
【ACPに関する研究】
このように、「自分が望む最期の迎え方ができるよう、これからの過ごし方を話し合う」というACP、つまり「アドバンスケアプランニング(Advance
Care Planning)」について、
その概要や目的、ポイントなどについて説明した林先生。続いてACPに関する研究に関し、スライドを用いながら次のように言及しました。
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○腎不全など、非がんでは予後の判断が難しく、決まった方法がない。想像よりも悪い、「認知症」は「終末期疾患である」ことが認識されていない。
○訓練を受けたファシリテーター(これからの過ごし方を考える人)が定期的に、時間をかけて相談することで、治療に対する希望を記載しておいて、意思表示が医療責任者に伝わるようにアレンジすることで、希望が尊重される。結果として、「不本意な終末期」を迎えることを減らすことができる。日本でも予備的に成功している(このファシリテーターの育成について、閣議決定はまだだが、ここ数年のうちに何らかの方針が出るのではないか、とのこと)。
○方法としては、ビデオを使うと状況がより詳細に伝わるようだ(心臓マッサージを”マッサージ”、つまり心地よいものと思っている人もいるので、ビデオで見てもらうこともあるとのこと)。
○施設で看取りを行えるようにするため、施設内にプロジェクトチームを置いたり、専門チームによりサポートすることは有用なようだ。
○病院での倫理判断のためのツールや専門チームの介入も、不本意な終末期延命治療を避けることができる。
○しかし、これらは普及に非常に時間がかかるので、「意思表示」ということならば、「医師が積極的に関わること」を盛り込むことで対処しようという方向性もある(POLST:ポルスト、Physician
Orders for Life-Sustaining Treatmentの略、”生命維持治療のための医師指示書”)。
○地域全体に、ということであれば、医師だけでなくて、患者自身に受診前に情報提供すると少し良い。
○一般邸な希望を聞いても結局病状によって細かく違ってしまうので、「患者の意思表示をあらかじめ聞く」ではなく、家族に介入する。病状によって細かい仮想状況もとに患者の希望が家族にわかるような教育介入を行うことで、家族が希望を推し量りやすくなることを目的とする。
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事前指示書、そしてエンディングノートなどについては市販のものやインターネットからダウンロード可能なものあるので、それらのものを活用することで家族と話し合うきっかけになるとのことでした。