褥瘡治療学びました(看護・介護部会、その8)

2014年6月25日|

【33.褥瘡治療の実際(3)

 

 「昔はラップ療法について、”最初から最後までラップだけでいい”と書いているものもあったのですが、実際は壊死組織があるときは早く除去する方が炎症が落ち着いて早く肉芽が形成されます」と、壊死組織を除去するデブリードマン(科学的・外科的)を行っている様子がスライドで紹介され、次いで外用剤、そして被覆材とスライドは続きました。津守先生の話によると、「(創傷治癒の障害を取り除き、治癒環境を整える)ウンド・ベッド・プリパレーションの概念などを考えて治療すると、外用療法というのはあまり役に立っていないような気がします。どちらからというと現在主流になっているのは被覆材で、キズを覆うものを上手に使って治っていく環境を整えていくという考え方になっています」とのこと。また、ラップだけを用いるのではなく、穴あきのフィルムやおむつなどを上手に組み合わせていく方が「実際によく治っている印象があるし、簡便で綺麗な治療法だと思います」と、浸出液の量や、症状に応じた被覆材を選択することが大事だと指摘しました。なお、紙おむつや整理用ナプキンは「”出てきた浸出液を吸い取らせ、下の方にためない”という意味では被覆材と同じ原理で、それらの開発には非常に力が入っており、日本の製品は高機能ですから、それらのものを上手に使っていくといいと思っています」とのことでした(ただし医療用品ではないので、医療用としては「モイスキンパット」や「エスアイエイド」などが認められているとのこと)。

 浸出液の量の違いによる被覆材の選択方法について、「ナカノ式褥瘡評価基準表(適切なOpWT基剤の選択)」をスライドに示しながら「浸出液の量があまりに多いとフィルムではむれたりかぶれたりしますから、直接おむつを当てる方がキズにとってはいいようです」「浸出液が減って来るにしたがって穴あきポリおむつ、フィルムおむつ・ラップなどを選んでいきます。そして浸出液があまりない時にはフィルムだけで構いません」等と説明。続いて「褥瘡ができたのではないか!?というときにどうするか?」という説明が次のように行われました。

 

(1)まずは徐圧!!

(2)ポリウレタンフィルムやラップで保護、観察・・・どうなっていくかわからない場合は観察を、「キズが深くなっていくのではないか?」というときには医師に相談し、治療。

(3)何もしないでおむつのみあてて観察

(4)とにかく治ってくるか、悪くなるかの観察を

 

 「しつこく言っていますがとにかく徐圧です。そしてこれからどうなっていくかわからない場合はフィルムを貼るなどして観察を行い、『キズが深くなっていくのではないか?これは悪いのではないか?』というときには医師に相談をしてください。とにかく目を離さずに観察をして下さい」と強調しました。

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(つづく)

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