転びやすい「ぬ・か・づけ」

2014年7月15日|

 「『ぬか漬けが転びやすい』とな!?そりゃあ壺が不安定だからじゃわ。どっしりした壺に替えればいいとよ」・・・って、そういう話ではありません。74日の宮崎日日新聞の「くらし・健康」欄に掲載されてた非常にショッキングな記事です。

 「転倒で死亡 7000人超」と見出しのあったその記事、まさにその通り厚生労働省人口動態統計によると、2012年における転倒・転落による死亡者が7761人に達し、これはじわじわ増加しているのだそうです。

これに対して交通死亡事故は1995年に15000人だったのが、2012年には6414人と半分以下に減少しているとのこと。つまり現代は交通事故死より転倒・転落死が多くなっているということです。さらにそのうち「大半が65歳以上の高齢者」とあっただけでなく、「死亡に至らない場合でも、転倒は重い障害や骨折、寝たきりの原因にもなる」と書いてありましたから、老健施設に勤める者の一人として看過できない問題だと思いました。

 このような現状の中、日本転倒予防学会(武藤芳照理事長)が今年4月に発足したそうです。そして武藤理事長が指摘する「転びやすい場所」こそ標記の「ぬ・か・づけ」。「『ぬ』はぬれた所、『か』は階段と段差、『づけ』は片付けていない所」・・・。まさにその通りです。入所利用者が施設内で生活する際はもちろんん、在宅復帰のめどが立ち、家屋の状況を調査し、住宅改修などの環境整備を行う上で、この「ぬ・か・づけ」を常に念頭に置いておきたいと思います。

 武藤理事長によると、「一般に50歳を超えると転びやすくなる人が少しずつ増える」とのことであり、介護予防の一環としても要介護者や要支援者のみならず、広く地域住民を対象にした働きかけが必要で、そのために行政機関などと連携した老健施設の取り組みが重要だと痛感した記事でした。

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