食に関するリハ学びました(リハ部会:その5)

2014年10月3日|

【第2部 各施設での成功事例・取り組みの発表(2)

 

〔食事関連の取り組み:菜花園 理学療法士 濱砂好治さん〕

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介助用スプーンに着目して、6種類のスプーンを用いどれが1番よいのか検討を実施した事例の報告がありました。6種類のスプーンはそれぞれ、中華スプーン・ティースプーン(柄に加工があるもの)・ティースプーン(先端が平たく直線)・デザートスプーン・スープ用スプーン(丸型)・中華スプーンを用意。回答方法として、介護スタッフよりそれぞれを使用していただき食事介助がしやすいスプーンの順位を回答していただく。それぞれのスプーンの利点および欠点を記載していただく。介護者側からの意見が主になります。

さて、第1位はスープ用スプーン(丸型タイプ)でした。大きさは適度で深さがあり汁物も飲ませやすい、食べこぼしがほとんどなく主食、副食ともに使いやすいという意見があがりました。ちなみに、第2位はティースプーン(柄に加工があるもの)、第3位はデザートスプーン、第4位は中華スプーン、第5位は中華スプーン、第6位はティースプーン(先端が平たく直線)でした。現場職員のコメントを総合すると適切な介助用スプーンの特徴としては、適度なスプーンの大きさ、適度なスプーンの深さ、適度な柄の長さ、適度な角度、先端の形状、食事形態による考慮が考えられ、様々なスプーンを用意して使用してみることが大切であると思います。

食事環境の検討について、食事姿勢であったり介助方法であったり、食事形態の見直しであったり、食事環境(箸、スプーン、テーブル、椅子など)だったりと多職種協同して原因を探り、総合的にみていくことが最終的には誤嚥性肺炎のなどのリスク軽減につながると考えます。

百聞は一見にしかず、百聞は一行(行動)にしかずということが大事で、一度実行してみないとわからないことがあります。実行して失敗しても前には進んでいるわけなので、いろんなことを皆と実行することが老健では大事なのかなと思います。食事介助とは排泄、整容、入浴、更衣の中では命に係わる介助であるので、根本的にしっかりリスクを見落とさないようにみんなで取り組む部分なのかなと思います。

 

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〔座位バランスと起居動作:グリーンケア学園木花 理学療法士 前田明人さん〕

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どうして座位バランスがとれなくなってしまったのか、何かしらできるものがあるのではないかという観点から話をいただきました。移動するための手段である車椅子はしかたなく食事とかアクティビティーに使用しているわけだから、工夫がいるんです。車椅子の座面はハンモック状になっていますので中央付近に体重がのってきます。1時間ぐらいじっとしているとおしりの真ん中が痛くなります。そもそも座位保持装置としての機能ではないんです。

座位の姿勢崩れの代表的なものは前方への滑りが挙げられます。仙骨座りです。また、それと同時に側方への傾斜が加わった方がたくさんいます。だいたい右利きの方は右に崩れます。崩れた状態からまっすぐ元に戻ろうとしたとき、どこのどの筋肉がどのように活動して戻れるのか?を考えた場合、非常にわかりやすかったのが、起居動作で主に関与する筋群がすべてです。抗重力的かつ高出力で使用される筋群、、、、つまり、腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋、腸腰筋、上肢伸筋群などです。

では、起居動作はどういう動作でしょうか。寝返りから頭を起こし重心を前方にもってきて、肘を付き体重を乗せ、身体を起こして肘から手を伸ばし端座位になる。これら一連の動作のどこができてどこができないのか注意深く分析をしていかないと、座位の崩れを作ってしまうことになります。

頭を上げる所(head up)から肘に体重を乗せる為身体を前方に落とす(on elbow)ことができないかたが多い。セラピストはここにアプローチすることが必要で、一連の動作のどこができてできないかを注意深くみて介助することが大事。起き上がり動作一部介助と聞いたらたぶんここだろうなと思って、手伝いあとは様子をみるとできると思います。

起き上がり動作は、ずいぶん昔の話ですが、廃用症候群が一番の確立で起こるのはどこかと調べた結果、第一位は老人保健施設だったそうです。病院では手厚くリハビリされよかったのか、老健施設ではレベルが落ちる方が多かったそうです。特別養護老人ホームではレベルが落ちる所まで落ちて入所されるので落ちないそうです。老健で機能を落としてしまう。

どうして落とすのか考えると、例えば起居動作が自立されていた方がいるとします。しかし時間がかかる。当然高齢者ですからそういう方が多いです。だから介護者は時間的制約から手伝いますよと言って手伝います。そうすると、ご利用者はありがとうと声をかけてくれます。介護者はいい事をしたと勘違いしますが、これがえらいことになります。

その方のたくさんの筋群を使う場面を奪ってしまう。いわゆる過介護になり、これを続けていくと全介助になってきます。つまり、一生懸命に頑張って動作している方が大変そうだと手伝うとすぐ全介助になり、全介助が続くと座位保持する為の筋力が奪われてくることになります。その結果いろんな工夫がかえって必要になってきます。そういう状態を作ってしまうので、起居動作の自立の方、一部介助の方もどこをどのように介助するのか分らないとなれば、すぐ全介助になりますし、どう介助すればいいのか分らない一部介助はほとんど全介助ですから、そうならないように起居動作介助のリスクをわかって下さい。

また、ベッド上での寝返るスペースを確保する、on elbow-ができるように柵をとってみるなど試して下さい。10名中6-7名はスッとできるようになると思います。

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(おわり)

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