Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その13)

2015年10月26日|

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 さらに食事の際の車椅子の使用方法、姿勢の工夫、介助の方法などについて実例を交えながら説明がありました。

【車椅子について】

〇車椅子は本来座る道具ではなく移動のための道具。座り心地は配慮されていない

〇普通の椅子の場合、座面に板敷いてあり、2時間座っていても痛くないが、車椅子はスリングシート。折りたたみ可能である反面、その弊害として長時間の座位に適さない

〇椅子の場合、体重は坐骨結節を中心にかかっている。また座る姿勢を適宜変え、体重を分散させている。しかしスリングシートはお尻にピッタリはりつくので分散率が悪くなる。またお尻が下に落ちて腰に負担がかかりやすくなる。つまり車椅子に座るのは椅子に座るより辛いということ。それによって皮膚の発赤や褥瘡形成のリスクとなる

〇車椅子のまま食事するには工夫が必要。長時間座るには手で押して戻るくらいの硬めのクッションで、5センチくらいの厚みがあるものでなければいけない

〇フットレストから足を下ろすこと。フットレストは人を運びやすくするため、前輪よりも前にあるが、足が膝より前にあると前屈位が取りづらい。

〇人は飲み込む時、自然と体を前に傾けるが、この前屈位が取りづらいと、飲み込みにくくなり誤嚥事故を引き起こしかねない(膝より前に足を出して食事をしてみると飲み込みにくさがわかる)

〇このようなことから食事の時にはフットレストから足を下ろすこと。

〇ただし足が床に着かず、宙ぶらりんの状態だと嚥下機能の障害となるため足置きが必要。座位アセスメントをしっかり行い、足置きはフットレストの場所ではなく、膝の直下に置くこと

【食事介助のポイント】

〇立ったまま上から介助するのは危険。利用者はのどが伸び上がってしまい、このまま食べ物を口にいれたら、いつ誤嚥するかわからない。窒息の一番のリスクでもあり、絶対にやってはいけない。

〇緑風園ではスタッフは全員座って食事介助している。立ったままの介助は食事が落ち着かなくなるが、これは認知症の人にとっては特に良くない

〇まっすぐスプーンが出せるように目を合わせて介助する。上を向かせない(立ったままスプーンだけ下から出しても利用者は介助者の顔を見ようと上を向いてしまう)

〇視線が同じ高さになることでお膳の見え方も同じになる。

【食事中の姿勢】

〇椅子に背中が貼り付いている姿勢では前屈ができず、飲み込みが困難

〇殿部に隙間がある→殿部が前にずれてしまっている。この場合坐骨結節に体重がかかっおらず、坐骨にかかっている。これを30分続けると褥瘡ができる恐れさえある

【テーブルの高さの工夫】

〇緑風園では座高が低い人のために20センチ低いテーブルを使っている。一般的なテーブルは身長140センチの人を想定していない

〇背の低い人が普通のテーブルで食事すると顔の高さにお膳が来る。ご飯茶碗は手荷物から見えるが、深皿のおかずは見えなくなる

〇「主食しか食べない」というのは認知症ではなく、おかずが見えていないからではないか→テーブルを低くすることで解決する場合もある

【食器の工夫】

〇白身魚を残す元漁師の利用者。しかしカレイやシャケは食べる→白内障だったその利用者に、白色皿で白身魚を提供していたため、魚が見えなかった

〇三色の色つき皿で出すようにしたところ、食べるようになった

〇逆に認知症の方に模様のあるような皿で提供すると食べない場合がある。食事でもなく、皿でもない、一つの絵のように見えてしまうため。そのような認知症の人には単色の皿で出す工夫を

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←「その12」に戻る)             (つづく

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