Masaさん(菊地雅洋氏)第2弾講演会開きました(事務長会&看護・介護部会:その12)

2015年10月23日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会事務長会と看護・介護研究部会が合同で開いた「masa氏 第2弾講演会」。会場を埋め尽くした400人の参加者はは、講師の「masaさん」こと特別養護老人ホーム緑風の総合施設長、菊地雅洋先生が発する熱いメッセージのひと言ひと言に、完全に引き込まれていました。

 そんな菊地先生が次に示したスライドにはたった一文字、しかしスクリーン一杯の大きさで「魂」と記されていました。

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 そして次のように説明しました「人間の『魂』という字をよく見て下さい。本当に人の魂になるときには誰かに言われて、言い合わないと魂にはなりません。言われなくなった時、言わなくなった時、『云う』という字が『魂』からなくなったら、『魂』は『鬼』になります。どうぞ『魂』を『鬼』にしない介護を我々のいる場所から作っていって欲しいと思います。そういう意味では先ほど言ったように介護の中で相談員での介護職員でも看護師でも栄養士でも介護支援専門員でも全員に必要な力は、考える方の『想像力』とつくる方の『創造力』です。気がついて、気がつくだけで終わってはだめです。気がついて『それは何故?』と”WHY“を繰り返し考え、考えたことを実行して新しいケアに結びつけていく創造力が必要です」。

 このように介護者に必要な能力として「想像力」と「創造力」を挙げた菊地先生は、これに加えて人に対する興味が武器になることや、不幸を作り出すために介護があるわけではないという常識を持つことの大切さを、スライドを用いて示しました。

 ここまで述べると、菊地先生は緑風園における実際の取り組みを紹介しました。

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O脚で転倒を繰り返し特養入所した人の事例】

〇施設内では歩行器で左右に体を振りながら歩き、足が横に持っていかれるように転倒される方

「なぜ横に倒れるのか?」、「どうすれば足が横に持っていかれないか?」と想像力を働かせた

〇知り合いの理学療法士に相談→「靴調製で転倒を防ぐことはできないだろうか?」

O脚矯正用のインソールを100円ショップで購入し使用することで、横に倒れなくなった

【尿意を頻回に訴える認知症の人の事例】

〇入所に際し「尿意を頻回に訴える」と情報書に載っていた認知症の方

〇入所後、確かに何度も「おしっこをしたい」、「トイレに連れて行って」と訴える

「『おしっこをしたい』という訴えは寂しさの訴えではないか?おしっこを理由に誰かに側にいてほしいと呼んでいるのではないか?」(※←このように考えてしまいがち!!)

〇「オムツで対応してもいいでしょうか?」という話も上がる

しかし、認知症でない人が同じ事を訴えたらどう考えるのか?

〇菊地総合施設長自らがその人を連れて泌尿器科受診→膀胱炎だった

〇服薬により2週間で治る。オムツもせず、「おしっこ」とも言わなくなり、自分で普通にトイレに行って排泄するようになった

〇要介護度も下がった

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 これに続き、アルツハイマー型認知症で「在宅の方のケース」および「施設利用者のケース」、そして「脳出血後遺症で排泄感覚の障害がある施設利用者」のそれぞれにおいて失禁がある場合ついて、その特徴を踏まえた目標設定やサービス内容などを交えた排泄プランが紹介されました。「失禁する」ということだけが課題と考えるのは不十分なアセスメントであり、その理由を考察しなければ問題解決にならないこと学んだ受講者は、“WHY(なぜ)を繰り返し考え、それ以上繰り返せなくなったときに、その結論がニーズになる「課題解決型アプローチ」の大切さを実感するとともに、その理由をきちんと整理して抽出する「想像力」と「創造力」を、各施設のスタッフ全員で培っていこうと真剣に聞き入っていました。

←「その11」に戻る)             (つづく

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