第13回研究大会開きました(その6)

2016年11月28日|

 

001bq8v6193 研究発表が終わり、市民公開講座となりました。テーマは「認知症介護に係る家族の責任」。講師はあさひ法律事務所のパートナー弁護士、畑井 研吾先生。平成19年12月、認知症で徘徊中の男性(当時91歳)が列車にはねられて死亡した愛知県での事故を巡り、JR東海が男性の遺族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟において、平成28年3月最高裁は約360万円の賠償を命じた名古屋高裁判決を破棄し、家族の賠償責任を否定する初めての判断をしましたが、畑井先生はその裁判に遺族側代理人として関わってこられました。認知症高齢者を地域ぐるみで支えようという取り組みが全国的に広がりを見せている中、認知症の方を介護される家族の責任のあり方への関心は高く、この講演には一般の受講者を数多くご来場いただきました。002bq8v6198

講演はまずこの事故の概要に触れ、事故が発生するまでのご家族による献身的な介護の様子が紹介されました。外出願望があり徘徊を繰り返す男性に対し、自らが要介護認定を受けている妻や、介護のために近所に転居し、泊まりがけで世話をした長男の嫁など家族が懸命に介護を行い、玄関にセンサーも設置するなどしていたにもかかわらず、わずか数分間という隙に男性は外出、悲惨な事故が発生。JR東海は遺族に損害倍所を求めて提訴、名古屋地裁は男性の妻と長男に責任があるとして約720万円、名古屋高裁は妻のみに責任があるとして約360万円の支払いを命じる判決をしました。

それに対して最高裁は「妻と長男に賠償責任がない」と判決。「判決 家族の救いに ~認知症支える人ら『画期的』~」との見出しが立ったその時の新聞を示しながら、「裁判所は認知症の人を『とても危険な人』と思っているようでした。今回の裁判はそれをひっくり返すためのものでした」と振り返る畑井先生の話を受講者は真剣な表情で聞き入っていました。003img_8332

(つづく)

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