「失敗学に学ぶ」研修会開きました(看護・介護部会:その2)

2017年2月27日|

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この病院内の失敗につながる「11種類の原因」を踏まえ、「役に立つ報告書」の書き方を学びました。「真の原因が明確になっており、ドンピシャリな改善が提案されているもの」が役に立つ報告書であるとして、実際に起こった事故およびこれに対して提出された「役に立たない報告書」をもとに、失敗の原因を11種類の中のどれに該当するかを検討しながら、Before→After形式で報告書の「リフォーム」を受講者同士によるワークも交えながら進められました。004IMG_0514005IMG_0498

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【例:「夕薬を2日分服用させた場合」】

〔Before〕

(×原因)Aナース:配薬車から○氏の配薬ケースを引き出し、定期の夕薬2包(ホッチキスで留めている)の△△日分を取り、臨時薬1包をホッチキスで留めた。この時△△日・△□日を一緒に取ってしまったことに気づかなかった・・・・・・・・

(×対策)与薬する時に、日付、時間を1包ずつ確認する。

〔After〕

(○原因)1日分とったつもりが、2日分取ってしまった。うっかりミス。

(○対策)うっかりしてても、2日分取ることができない仕組み

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 「確認不足だった」では真の原因分析にはなっておらず、「以後注意する、しっかり確認する」などといった精神論は有効な対策とはいえず失敗や事故は繰り返されることを念頭に置き、リフォームされた「役に立つ報告書」が示されると、受講者は身を乗り出して見入っていました。004IMG_0438

 続いて三好先生は野尻中央病院における取り組みを紹介しました。「原因追及≠責任追及」、「報告書≠始末書」という考えのもと、「報告書は病院の宝」として“計画(Plan)”、“実施・実行(Do)”、“点検・評価(Check)”、“処置・改善(Act)”からなる「PDCAサイクル」を繰り返し再発防止・未然防止に取り組んでいるとのこと。また報告書の提出件数が多かった職員や、顕著な改善を行った部署を対象にした「ご褒美制度」を設けたり、想定しうる失敗のからくりや罠を伝えるために「失敗想定手順書」を作成したりしているそうです。006IMG_0505

 最後に野尻中央病院に他病院から転職してきた職員が受けた院内レポート(抜粋)が紹介されました。「前の病院では同じ失敗を繰り返しては怒られ、反省し落ち込むばかりだったが、野尻中央病院では失敗すると先輩たちが一生懸命話を聞いてくれ、一緒になって真の原因を探し、対策を考えてくれる。人を責めることなく改善に力を貸してくれる、そんな風土にものすごく助けられる。(医療版失敗学に基づき)真の原因を解明し、再発防止だけではなく未然防止にも活用する、それをみんなで情報共有するという活動が重要であることを知った」といった内容のレポートがスライドに示されると、受講者はうなずきながら聞き入っていました。005IMG_0516

 三好先生の講義は軽快な語り口でありながら熱意あふれるパワフルなもので、大変わかりやすく有意義なものでした。医療版失敗学を初めて学ぶ受講者も多く、講義終了時には会場からは感謝の拍手がおくられました。007IMG_0527

(おわり)

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