第15回大会開きました(その15)

2019年1月23日|

 石川智信理事長による市民公開講座「最期まで住み慣れた家で過ごすということ」。「ここからが私の専門」と前置きし、在宅医療の話を始めました。まず在宅医療の歴史について、有床診療所を中心にした医療が主流で、往診が普通に行われていた1960年代、高度経済成長を背景に病院数、病床数が急速に増加し、往診医療を中心とした在宅医療が消滅、1975年を境に病院死が自宅死を逆転した1970頃からの状況、在宅医療の推進が開始され、訪問診療料の概念が構築され「新しい在宅医療元年」と称されている1986年、さらに各都道府県に「5疾病、5事業および在宅医療」について第6期保健医療計画に数値目標を設定し、盛り込むことが義務化された「新生在宅医療元年」と言われる2012年の概要等がスライドを用いて説明がありました。

これを踏まえて1994年11月に開設した無床診療所いしかわ内科について話が進みました。「開業は全く考えていなかった」という石川理事長、「しかし誰かがやらないと」という強いから開業に踏み切ったのには、勤務医時代に経験した初めての在宅での看取りが契機になったそうです。それは末期がんの男性患者の事例。妻の希望で退院、自宅に帰り娘と3人の生活を再開。亡くなるまでの8日間、家族で満たされた時間を送ることができたそうです。しかし「在宅では修羅場」と当時の様子を表現する石川理事長、「『病院だったらまだ生きていたのに、どうして連れて帰ったのか』と奥さんは親から責められていたのです。その時私は『在宅医療は中途半端じゃいけない』と思ったのです」と言葉に力を込めて語ると、参加者は神妙な面持ちで耳を傾けていました。そのような経験をした石川理事長がいしかわ内科開設にあたり「住み慣れた自宅で最後まで暮らしたいという患者を支援する」という開設理念を掲げたことをスライドに示すと、参加者は納得の表情で聞き入っていました。

内科診療所開設に続き「在宅を支えるにはリハビリが必要」と、1995年1月にデイケアを開設。また認知症の患者にも対応するため2001年には認知症患者のための祇園デイサービス開設。2013年に軽度要介護者のためのデイサービス万智、さらに2017年には失語症患者のための地域密着型デイサービス佐智を開所していったとのことでした。

(つづく)

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