開催しました!「九州大会inみやざき」(その17)

2024年8月16日|

このように考えていた三浦靖彦先生に、福島県立医科大学の宮下淳先生から「一緒に作りましょう」と声がかかり、できあがった日本版ACPの定義と行動指針が次のようにスライドに示されました。

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1.日本版アドバンス・ケア・プランニングの定義

アドバンス・ケア・プランニングとは、必要に応じて信頼関係のある医療・ケアチーム等(※1)の支援を受けながら、本人が現在の健康状態や今後の生き方、さらには今後受けたい医療・ケアについて考え(将来の心づもりをして)、家族等(※2)と話し合うことです。

特に将来の心づもりについて言葉にすることが困難になりつつある人、言葉にすることを躊躇する人、話し合う家族等がいない人に対して、医療・ケアチーム等はその人に適した支援を行い、本人の価値観を最大限くみ取るための対話を重ねていく必要があります。

本人が自分で意思決定することが困難になったときに、将来の心づもりについてこれまで本人が表明してきた内容にもとづいて、家族等と医療・ケアチーム等とが話し合いを行い、本人の価値観を尊重し、本人の意思を反映させた医療・ケアを実現することを目的とします。

(※1:本人の医療やケアを担当している医療、介護、福祉関係者)

(※2:家族や家族に相当する近しい人)

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話を聞き入っている参加者は繰り返し登場する「将来の心づもり」という言葉に引き寄せられている様子。それを感じ取ったかのように、三浦先生は将来の心づもりをするとは、(1)これまでの人生を振り返りながら、今後どのような自分でありたいか、どのような生活をしていきたいかを思い描く、(2)現在の健康状態、これから予想される健康状態とその見通しについて理解する、(3)人生の最終段階をどこで、誰と、どのように過ごしたいかを思い描く、(4)本人が自分で意思決定することが困難になったときに、本人の意思を反映させた医療・ケアの実現のために医療ケアチームと話をしてくれる支援者を選ぶことを考慮する・・・とスライドを進めながら深掘りすると、参加者はアドバンス・ケア・プランニングの主語は病院や施設ではなく、あくまでも本人であること、そして病院や施設は各自の専門性を活かし、互いに連携しながら将来の心づもりをサポートする存在である事を理解し、そのために自らの専門性を高めるとともに、より一層連携を強化する必要があることを再確認していました。

アドバンス・ケア・プランニングのホームページには、「ACPの定義」、「具体的な内容・対象者」、「行動指針」などがわかりやすく説明されていますのでご参照下さい。

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日本版ACPの定義と行動指針の出典元】

Culturally Adapted Consensus Definition

and Action Guideline: Japan’s Advance Care Planning

J. Miyashita, S. Shimizu, R. Shiraishi, M. Mori, K. Okawa, K. Aita, S. Mitsuoka, M. Nishikawa, Y. Kizawa, T. Morita, S. Fukuhara, Y. Ishibashi, C. Shimada, Y. Norisue, M. Ogino, N. Higuchi, A. Yamagishi, Y. Miura and Y. Yamamoto

J Pain Symptom Manage. 2022 Dec;64(6):602-613

Accepted: September 8, 2022

Published: September 14, 2022

DOI: https://doi.org/10.1016/j.jpainsymman.2022.09.005

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(つづく)

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