開催しました!「九州大会inみやざき」(その19)
市民公開講座、続いて演台に立ったのは琉球大学病院地域・国際医療部の臨床倫理士、金城隆展先生。「自分のものがたりとして考えるACP」という演台でご講話を拝聴しました。
金城先生は生命倫理・臨床心理という応用哲学を専門とされ、その中でもナラティブエシックス(物語の倫理)を研究されています。また琉球大学病院では医療倫理教育、倫理コンサルテーション(倫理相談・支援サービス)を担当されています。臨床の現場で倫理的な問題が生じた時に助言をしたり相談を受けたりするなどご活躍中です。この日はそんなご多忙の中、本大会のために駆けつけて下さいました。
「三浦靖彦先生がACPのど真ん中をお話していただきましたので、私はACPの周辺をゆるやかに考えていきたいと思います」と、柔らかい口調で語り始めました。
この日の公開講座では「1.選択を意識する」、「2.物語を共に紡ぐ」、「3.第3の終活(金城先生は『真のACP』と呼ばれています)を意識する」という内容で進められました。
「1.選択を意識する」では「倫理とは、詰まるところ、『選択』です。みなさんが何かを選ぶことに関する言葉です。私たちは選ぶという意識があってはじめて倫理的になることができます。選んでいるという意識がなければ、そこに選択肢がなければ、選べる自由がなければ、私たちは倫理的にすらなれない、ということを考えていきたいと思います」と切り出し、勉強をする理由として「人生の選択肢が増える」と述べた有名人のエピソードを紹介しつつ、「選ぶこと、選べる自由こそ、その人らしさ、私たちらしさ、私たちの尊厳が現れます。みなさんが今日何を食べるか、何を着るか、そのひとつひとつの積み重ねが皆さん自身を作っていく、皆さんらしさをつくっていく、そしてその選択の積み重ねの先に、先ほど三浦靖彦先生がおっしゃったACPがあるということになります」と続けた金城先生。この「倫理とは選択である」という言葉に、参加者はうなずきながら聞き入り、集中度を高めていきました。
(つづく)