開催しました!「九州大会inみやざき」(その20)

2024年8月21日|

このことを踏まえ、金城先生は「私たちが歳を取ったり、病気になったりすると、できることが減ります。すなわち選択肢が減っていきます。それだけでなく自分らしさを表現する機会がどんどん減っていきます。であるならば私たち医療、介護は何をすることができるでしょうか」と金城先生は会場に問いかけました。

そして「リハビリやケア、治療を通じてできなくなっていたことができるようになること、これはもちろん素晴らしいことですし、皆さんもそのために頑張っていただきたいと思います。しかし歳を取ったり病気になったりして、どうしても生物医学的な選択肢の枠は狭まらざるを得なくなってしまいます。しかしそうなっても、個人の選択肢の中に自分たちが生きるために治療や介護を選んでいく、つまり私たち医療の専門家の治療の選択肢の中にいかにして患者さんらしさ、患者さんの思いを反映できるか、そういう医療、介護こそが、尊厳ある医療であり介護であると言えます。そしてそこから自分が選ぶ、生きるということを考えるということが人生会議、ACPです」と続け、「倫理」「選択」「ACP、人生会議」という言葉を有機的に意味づけ、その中で医療と介護のあり方を更に解いていきました。

選択の連続からなる人生、しかし「私たちは、死なないことを選ぶことはできません。いつかはかならず死にます。ここに倫理は生じません。ではどこに倫理が生じるのでしょう。日々のひとつひとつの選択の積み重ねによって、『後悔の最期』を持つか、それとも『腑に落ちる最期』を持つか、どちらの最期を持つかを選ぶことはできます。そして『腑に落ちる最期』のために、ACPが必要なのだということを、私たち倫理学者は皆さんにお伝えしたいと思っています」と金城先生は言葉を重ね、ACPの大切さを強調しました。

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ