停電とコスモス

2011年10月25日|

  1021日の未明の事でした。雷鳴が轟いていました。雨も降って、風も強く吹いていました。その光景を眺めるともなく眺めていた、とその時です。

 遠くの空が一瞬ピカッと光ったと思ったら、大淀川の左岸側の明かりという明かりが一斉に消えたのです。ぷっつりです。橋の灯りも消えてしまい、街は真っ暗闇に包まれてしまいました。

 一方、川の右岸はというと、何の異常もなく、家の灯り、街灯の明かりとも点いていて、いつもの同じ街の表情を見せていました。

 川を挟んで、日常と非日常が向かい合っているその光景は異様でした。と同時に、普段は水や空気のように、あるのが当然と思っている電気の存在の有り難さを再認識させられました。特に今年は、節電への取り組みが叫ばれている最中。電気を大事に使わなければならないと思いました。

 それから何時間かが過ぎて、明るくなってからの事です。花壇のコスモスが、一本残らずも横倒しになっているのを見ました。激しい雨と風にやられたのです。実はその前日、やっと一輪だけ開花していたのです。「これからどんどん咲いていくね。写真を撮ろうか」などと話していたばかりだったのに、明けてみたら全滅です。ショックでした。しかし、その後のニュースで五ヶ瀬川のアユやなが濁流に流されてしまったり、落雷による火災が発生した事などが報じられ、事態は菜の花云々どころでは無いことを知りました。

 自然災害の恐ろしさを思い知らされる昨今です。それに加えて、人工衛星が落ちてくるかもしれない、なんてことまで心配しなければならない時代になってしまいました。文字にすればたった二文字の「安全」。しかし、絶対の安全というものは、なかなか保障されるものではないのだ、と思わずにはいられない出来事でした。

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