研修会を開きました(ケアプラン研究部会)

2011年11月8日|

 ()宮崎県老人保健施設協会高齢者ケアプラン研究部会は115日(土)、宮崎市花山手の宮崎市民文化ホール会議室で、リーダー研修会を開きました。今回は熊本から「()地域ケアプラン研究所・海(かい)」の大石逸子代表を講師に招き、施設ケアプランの効果的活用について学びました。会員施設等から57人が受講しました。

 大石先生は医療法人萬生会西合志病院副院長兼総婦長を経て独立。同研究所を開設されました。現在、熊本県および宮崎県の介護支援専門員現任教育教師や日本総合研究所講師、熊本看護専門学校講師なども務め、さらに九州各県で市町村介護給付適正化事業に関わったり、NPO法人理事、第三者評価委員もこなされるなど、八面六臂の活躍中です。この日はそんな激務の合間を割いて駆けつけて下さいました。

 

 

 

IMG_1501.JPG  エネルギッシュに語る大石先生。 時間がいくらあっても足りないくらいのためになるお話でした。

 

 「老健が老健の役割を果たさなくなくなっている。介護保険前は自宅にちゃんと帰していたが、介護保険が始まったと同時に、老健全体が特養化しだした。『老健って何なの?』と問われる時代がもうそろそろ来る。私は介護保険が始まるずーっと前から老人と関わってきた。寝かせっきりの時代もあった。それじゃあいけない、と平成元年あたりから言い出して、平成2年から家に帰そう、と取り組み始めた。そうすると、帰れない人はいない。これは現場で何十年やってきて確信したことだ。『うちの施設は帰れない人が多いんです。家族が受け入れられないんです。行くところがないんです』と言ってる施設が、要らない施設になる。これは間違いないことだ」──。開口一番、老健がその本質的使命である、在宅復帰機能を果たしていない現状を切り出した大石先生の話に、受講者の背筋がピンと伸びました。

 

IMG_1506.JPG 一言も聞き漏らすまい、と熱心に聞き入る受講者の皆さん。

 

 利用者の意欲を高める支援方法や、多種チームとの連携の重要性、「生活支援」の視点と施設ケアプランのあり方、さらにそれらのために必要となる能力などについて、スライドを用いて講義が行われた他、グループワークも交えながら研修が進められました。

 講義の中で、大石先生は「ケアプランで人を教育し、組織を育成できる」と強調されていました。ケアスタッフを教育していくには、(1)理念、方針、考え方、現状を直接示す、(2)ケアに関連した学習ができる環境をつくる、(3)患者が療養しやすい環境をつくる努力をする、(4)スタッフが教える、尋ねられる環境をつくる・・・の4つを、また、組織を育成するためには、(1)指示命令系統をはっきりさせる、(2)確実に指示、決定事項が伝わるようにする、(3)管理者を育てる・・・の3つを示されました。

 一方、利用者や家族との関係において、「ケアプランは契約!3ヶ月の目標を立てておきながら、3ヶ月後それを果たせていなかったら契約違反。『訴える』という人が出てきてもおかしくない」と指摘。ケアプランの重要性を改めて思い知らされました。

 グループワークでは、参加者自身やそれぞれの職場について、その強みや弱み、機会、諸環境などについて各自が分析した後、意見を交換し合いました。

 

 

 

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グループワークでは、各自がそれぞれの現状を踏まえ、意見を交わしました。

 

 研修の終わりに、「強みをいかに機会に変えきるか、それがこれからの皆さんや、皆さんの職場が生き生きする方法論だ。そうするとケアプランも生き生きする。自分たちで自分たちの職場を悪循環から良い循環に変えていくしかない。今回の研修を、自分や職場の強みと弱みを考え、どういうケアマネージャになりたいか、どういうケアプランを作りたいか、を考える機会にして欲しい」と締めくくられた大石先生。限られた時間の中で、本当に内容の濃い研修会となりました。

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