山中の賊より心中の賊

2012年1月4日|

 

山中の賊を破るは易く心中の賊を破るは難し」とは、山中で手向かう賊を打ち破る   のはたやすいが、心の中の邪心に打ち勝つことはむずかしい、という意味の王陽明の言葉で、修養の困難なことを言ったものだそうです(『暮らしの中のことわざ辞典』、集英社)。

 新年を迎え、「今年こそはこれをやろう!あれに挑戦しよう!ぜったい毎日欠かさずやろう!がんばるぞー!!」などと稽古事や、資格取得、スポーツなどなどに取り組む方もおられるのではないでしょうか。しかし、だんだんと「よだき心」が湧いてきて、毎日が1日おき、2日おき、週1回・・・となって、気がつけば今年もまた三日坊主になっていた、という事になったりするのは、心中の賊を破ることができなかったからということになるわけでしょう。

 「一年の計は元旦にあり」です。今年こそ心中の賊を打ち破ろうではありませんか!がんばろう、えい、えい、おー!!

 それはそうと、このことわざにはどうもしっくりしない部分があります。それは「山中の賊を破るは易く」というところ。山の中を歩いていて、突然山賊が飛び出してきて、はたして打ち破ることができるものでしょうか。決してたやすくはないと思います。しかも、こちらが油断しているところを狙って襲ってくるわけでしょうから、よっぽど腕に自信があるか、護衛をたくさん引き連れていないとヤバイと思うのですが・・・。だからといって、「山中の賊を破るのも難しいんだから、心中の賊を破るのも難しいんだ」と、言い訳に使ってしまうのはよろしくありませんね。

「天下の剣」、「万丈の山」と謳われた箱根の山の駅伝で、厳しい上り坂をまるで落下するかのように駆け上り、そして自分の心と身体にも勝ち続けて4年連続区間賞、さらに区間新記録3回を達成した東洋大学の柏原選手。彼こそは「山中」、「心中」両方の賊を破って前人未到の偉業を残した人と言えるでしょう。柏原選手を見習って、私たちも頑張ろうではありませんか!

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