仕事の原理

2012年2月20日|

  物理学の世界において、「仕事の原理」なるものがあります。『広辞苑』には「道具を使うと小さな力で仕事をすることはできるが、仕事の総量は不変であるという力学上の基本原理」とあります。餅は餅屋、というわけで『四訂版例題と演習物理?』(数研出版)を開くと、実に含蓄のある表現がなされていました。

 「物体を引き上げるとき、機械を使って必要な力を小さくすることはできるが、仕事で得をすることはできない」・・・。うーん(-_-)。物理学的に見れば当たり前のことですが、私たちの仕事に当てはめて考えると、洞察に富んだ、実に深い言葉に思えます。

 介護関連用品には様々な便利な機械や道具があり、それもどんどん新しい物が開発されています。これにより、介護負担がうんと軽減されるものも少なくありません。ただし、それを使うのは生身の人間!そしてその対象も介護を必要とする生身の人間なのです。物理学における「仕事の原理」を老健施設におけるそれに代入すると、「機械や道具を過信し、相手の心身の状態をよく考えずに、心を持たずして使っても得をすることはできない」と読み替えることができるのではないか?と思うのです。

 道具を適切に用いながら、身体的負担が減り、時間短縮が図れたならば、その分を「目かけ、声かけ、心がけ」に費やすことが、「老健施設における”仕事の原理”」と言えるのではないでしょうか。

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