春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)

2012年4月6日|

 「春風駘蕩」と書いて「しゅんぷうたいとう」と読みます。広辞苑には「春風がのどかに吹くさま。転じて、性格・態度がのんびりしているさま」とあります。たしかに春の風は、本来ならば他のどの季節のそれと比べても心地良く肌をなでて行くように感じます。これは、冷たい冬の風にさらされた後だから、よけいにそう思えるのかもしれません。ついつい居眠りしてしまいそうですが、仕事中の方はダメですよ。なお、「本来ならば」と前置きしましたが、先日全国で猛威をふるった爆弾低気圧。あの台風並みの暴風については、「春風」と呼ぶにはあまりにも激しすぎました。


 さて、いただけないのは「春風駘蕩」の後の方の意味。”性格・態度がのんびりしている”というのは、宮崎の県民性を言い表すときに、必ずといっていいほど出てくるフレーズです。そしてそれを後押しするかのように、「よだきい」(=おっくうだ)、「のさん」(=いやだ、きつい)という方言が紹介され、さらには時間にルーズなことを言う「日向時間」なるものが、とどめとばかりに付け加えられて、一宮崎県民としては何とも複雑な心境になってしまいます。だけど、のんびりなのは、悪いことばかりじゃあありません!


 以前、国道ウン号線(片道一車線)を中古の軽自動車走っていた時のことです。7台の車列の先頭を走っていたのですが、上り坂にさしかかる頃、前方に登坂車線(とうはんしゃせん)が見えてきました。左側の車線に「遅い車」と書いてあるあれです。中古の軽自動車の私は、迷わずその「遅い車」の方を登り始めました。後ろの車の人達が先に行くだろう、と。ところがいつまでたっても一台も抜いて行かない。疑問に思ってルームミラーを見てびっくり!!


 なんとそこには、後ろの6台すべてが、「遅い車」のレーンを走っている光景が映っていたのです( ゜Д゜)!!。みんなが”ダチョウ倶楽部”よろしく、「どーぞ、どーぞ」とやっていたわけです。なんという徹底したのんびりぶり、そしてなんとすばらしいゆずり合いの精神でありましょう!「ああ、宮崎県民でよかったなあ」と感慨にふけりつつ、車順はそのまま。7台編成キャラバンの先頭を走り続けたのでした。


 春風駘蕩の頃に合わせて、春の交通安全週間が今日から始まります(15日まで)。通所サービスの送迎時はもとより、訪問や通勤の行き帰りの際にも安全運転を心掛けましょう。春風駘蕩だからといって、居眠り運転は御法度ですよ!

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