研修会開きました(リハ部会)その3

2012年9月11日|

 引き続き、「老健施設におけるリハビリ」と題し、菜花園(西都市)の理学療法士、濵砂好治さんが講演しました。かつて同一法人の病院に勤務していた濵砂さん。異動で老健に勤務するようになって間もない頃、介護スタッフから「リハビリで筋力や関節可動域が改善しても、生活場面での介助状況は何も変わっていない」と言われ、少なからぬショックを受けた体験談から切り出しました。

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しかし、それが老健のリハ専門職として、「生活が改善するリハビリとは?何をすればいいのか?」と自問し、利用者様の機能面から生活面へ見方を変えていくきっかけになったのだそうです。見方を変えていくポイントは、入所者様や他職種の相談に耳を傾け、なるべく迅速に(その日のうちに)答えていく事。自分の専門外の事だと考えず、生活の一部として受け取り、その中で専門性を活かして考察・分析し、生活改善の結果を出していくことだと力説しました。また、その際には問題となっている現場に行って、実際に確認することが大事で、それが利用者様の「生活を視る力」をつけることになり、「訓練室では利用者様の生活が見えにくいが、現場で生活を視る力がつけば、生活場面として使える実際的な訓練も提供していけることになる」と付け加えると、参加者達はうなずきながら聞き入っていました。

これを踏まえて乗り移り動作や食事、車椅子に座る姿勢へのアプローチ方法、またこれらを改善するための福祉用具の活用方法など、実例を示しながら説明がありました。生活状況の改善を考える場合、その人の機能面ばかりにとらわれるのではなく、総合的に機能を活かせる生活環境も考えることが重要とのことでした。そこで必要になってくるのが介護者への理解。「残存機能を活かしていない、過度な介助にならないためには、過度な介助を行わないような状況をリハスタッフが考え、他職種が理解し、統一して行ってもらえるような取り組みをしていかなければならない」と、生活リハビリを全職種が意識して展開するために、リハスタッフの役割が大切であることを強調しました。

また、会場のPT、OT、STに対し、「技術者(専門職)ほど危ないものはない。”なんでもわかっている”という体質や過信は変化を拒み、硬直化を招くし、様々な問題が生じても、原因を自分以外に求めがちになる」と注意を喚起しました。そして、「『協働』とは相手を知り、共有すること。他職種のことをよく知って、相手に協力してもらえるような提案をしていきましょう。老健の使命は在宅復帰。そのためにも自分たちから変わっていきましょう」と参加者に呼びかけました。

研修会には若手からベテランまで、幅広い年代のリハスタッフが参加し、熱心に聞き入っていました。それぞれの老健施設でのリハビリテーションのあり方を見直す、またとない機会となりました。(終わり)

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