研修会開きました(リハ部会)その2
続いて講演は家庭復帰へのポイントについて移りました。これに関して中村さんは、
1.ご家族様の評価と意識づけ
2.退所前後訪問による具体的な課題の共有と連携
3.排泄手段の確立
の3つを挙げ、それぞれについて以下の通り説明を加えました。
【1.ご家族の評価と意識づけについて】
入所前に介護者の就労の有無、健康状態、介護可能な時間帯や内容、介護に対する意欲などを多角的に評価したり、入所判定会議でおおよその入所期間を決定することなどを通じて利用者様やご家族に家庭復帰を意識付けし、意味の無い入所の長期化を防ぐことができる。
【2.退所前後訪問による具体的な課題の共有と連携】
生活環境を評価することで利用者様の生活イメージを把握したり、生活上の課題を共有でき、また居宅ケアマネージャーや在宅サービス提供者と連携しやすい。さらに家庭復帰後も往復型利用へとつなげることができる。
【3.排泄手段の確立】
家庭復帰の条件として「排泄動作の自立もしくは軽介助でできること」を挙げるご家族が多いが、特に脳卒中片麻痺で、麻痺側上肢がほとんど機能していない方の場合、トイレ動作が困難であるなど、排泄問題が解決しないために入所が長期化するケースが多い。そのため、日中・昼夜に分けて排泄手段が確立することが重要。
このうち、「3.排泄手段の確立」に関して、中村さんは「下衣の上げ下げの動作におけるバランス保持が困難になりやすい」と述べ、その一因が既存のトイレ用手すりにあると指摘しました。これは、材質が硬い上に壁離れ寸法も6~8?しかなく、寄りかかりにくく、手放しで立位を保持し、下衣の上げ下げができないとのこと。この問題を解消するため、中村さん自らが考案し、商品化した支持型手すり「手すりの立人(たつじん)」が、排泄動作の自立や介助量軽減に功を奏していることを紹介しました。この「手すり立人」は、既存の手すりと異なり、壁離れを20?に広げるとともに、手すりに軟らかい素材を巻くことで握りやすく、寄りかかりやすい構造となっているもので、既に実用新案登録および商標登録済みとのことです。
最後に近年のリハビリテーションの考え方について言及し、日々進歩するリハビリテーションの理論や技術を、文献を収集するなどして学んでいく必要があると訴えました。(つづく)