鳴るか!?介護負担軽減の福音

2012年10月17日|

 少々前になりますが、826日付の宮崎日日新聞。「福祉従事者の労災後絶たず」という記事が載っていました。全国はもちろん、県内でも高齢者介護施設などで働く社会福祉従事者の労働災害が後を絶たないという内容です。

 厚生労働省によると、社会福祉従事者の労災の発生頻度は全産業従事者の2.5倍にもなるとのこと。また宮崎労働局によると、県内の老人介護施設、保育施設、障害者などで働く人約25,700人で、昨年休業4日以上となった事故は51件発生しているのだそうです。そのおもな内容はぎっくり腰や骨折など。このような状況を受け、県内4つの労働基準監督署では、社会福祉施設への指導強化に着手した、と記事にはありました。この2.5倍という数値、確かに看過できるものではありません。さらに「今後も高齢化が進むのに伴って介護労働者が増え、労災の増加が懸念される」と将来の見通しについての関係者のコメントが紹介されていました。

 月が替わった913日の同紙。「最期まで自分らしく ?デンマークの高齢者介護視察記?」と銘打った連載記事の中で、デンマークでは「法律で高齢者抱え上げることが禁じられている」とありました。これは介護者の身体的負担を減らそうというもので、同国では電動の介護リフトの使用が徹底しているのだそうです。そればかりか、「リフトを使わずに腰を痛めても労災は認められない」とのこと。少なからぬ驚きをもってこの記事を読みました。

 さかのぼって730日の日本経済新聞の一面トップ記事。「介護ロボ保険対象に」と5段見出しの立った記事では、2015年から介護・福祉に役立つ先端機器(介護ロボット)への公的保険の適用を拡大するという、政府の方針が示されていました。これによれば、介護される人が使用するものに加え、介助者の負担を軽減する機器も候補になっているとこと。これにより介護従事者の人材不足の緩和に役立てる狙いがあるのだそうです。

 介護を巡る我が国や本県の現状、そして高齢者福祉の先進地として知られるデンマークにおける介護の取り組みを鑑みながら、この「介護ロボ保険対象に」の記事のように、私たち老健施設に勤める者にとって、そして何よりも利用者様本人にとって、福音がたくさん鳴り響くといいと思いながら、3つの記事を並べ、読み直してみたのでありました。

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