ヒトノキモチ

2013年7月10日|

「天体の運動はいくらでも計算できるが、人の気持ちはとても計算できない」

と言ったのはアイザック・ニュートン(『生きるヒントになる名語録728』、轡田隆 監修、 橋本一郎 著、三笠書房)。

 イギリスが生んだ偉大な物理学者であり天文学者であり数学者のニュートンをもってしても「計算不可能」と言わしめた「人の気持ち」ですが、そこであきらめないのが人類。現在は様々な研究が行われているようです。

 「神経経済学」というのもその一つと言えるのでしょうか。耳慣れない言葉かもしれませんが、65日からの日本経済新聞の「やさしい新しい経済学」のコーナーで連載されていました。大阪大学の田中沙織准教授による特集でした。

 人間の癖やパターンがどうして生じているのかを、「脳」の特性から説明しようとするのが神経経済学だそうです。そして「経済行動に関する脳の仕組みを解明することで、癖やパターンも含めた人間の行動を説明できる経済理論を作り上げること」が神経経済学の目的の一つだとありました。fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用い、経済的行為に関する実験をする中で、脳を構成する神経細胞がどのように活動するか、などといった研究内容が紹介されていました。さすがのニュートンも、これにはびっくりかもしれません。

 私たち老健施設で働く者にとっても、「人の気持ち」、すなわち「利用者様の気持ち」は重要です。そしてそれはひとりひとり違っているし、また同じ人であっても常に同じ気持ちでいるわけでもありません。

もしそれが瞬時に計算でき、「今この人はこういう気持ちだからこのように対応して下さい」などと判断・指示してくれるコンピューターが将来登場してくれば話は別ですが、やはり基本は人と人とのコミュニケーション。これを深めるなかでお互いが理解しあっていくことでそれぞれの利用者様に最適なケアが提供することができるのではないかと思います。

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