主張する権利を守ること

2014年11月21日|

「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」と言ったのは、フランスの作家・思想家、そして啓蒙主義の代表者であるヴォルテール(本名フランソワ=マリー・アルエ)。1964年の1121日生まれですから、生誕320年を迎えたわけです。

 老健施設で働き、日々利用者と接する中で、悲観的になり、今後の人生に希望が持てないような内容の声を聞くことがあります。そのような時に「そんな事を言ったらだめじゃが!!」などと頭ごなしに否定すると、「ああ、この職員は私の言うことを聞いてくれない。この職員に何を言っても無駄だ」と口をつぐみ、心の扉を閉ざしてしまったら、その方が自分の悩みや悲しみ、そして苦しみを「主張する権利」は守られなくなってしまうのではないでしょうか。

 私たちにとって冒頭のヴォルテールの言葉は、利用者が話しかけてきたとき、その内容の如何を問わず、その声に耳を傾けること、そしてどんな内容であれ、利用者が語り、訴える権利を守ることの重要性を説いていると解釈することができます。

「傾聴(けいちょう)」と一口に言っても簡単なことではないかもしれません。しかし「傾聴」こそ、私たちにとって重要不可欠な姿勢であり、心がけだと考えます。「利用者が主張する権利を守ることから、よりその方の想いをくんだケアが始まる」と肝に銘じ、日々の業務に邁進したいと思います。IMG_6592.jpg

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