当たり前じゃないこと

2015年9月14日|

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 この写真は91日の早朝に撮影したものです。夏至の頃ほどではないものの、まだまだ北寄りの東の空から雲の合間を縫うように朝の太陽がこのような光線を放射しながら昇って来た瞬間を捉えました。紺碧(こんぺき)の空を突き破るような金色の光がとても綺麗で感動したのと同時に、この地球に光と熱とを届けてくれる太陽の存在をありがたく感じた瞬間でした。電気やガス料金を払わなかったら供給をストップされてしまうのに、太陽は地球に人類が登場するよりもはるかに前から無料でそれを「贈って」くれているわけですから。

 しかしこの景色はほんの短い間。すぐに空が明るくなって、いつも通りの朝がやってきました。そうなってしまうと、つまり「当たり前に明るい状態」になってしまうと、太陽の有り難みも忘れてしまいがちです。だけど太陽が急に「太陽料を払っていないから」などといって急に顔を出さなくなってしまったら、人々は大混乱を起こしてしまいます。「なーに大丈夫さ。アマノウズメノミコトにダンスを踊らせればアマテラスオオミカミのように、太陽も顔を出してくれるよ」などと日向神話みたいなことを言っている場合ではありません。おそらく地球の生命体は全滅するのではないでしょうか。そんなことを知って知らずか、太陽は相変わらず輝いていてくれます。「当たり前に毎日が過ぎているけれど、決してこれは当たり前なこととは言えないなあ。この当たり前なことに感謝しなくてはいけない」と思いながらシャッターを切りました。

 現在の私達の生活は、蛇口をひねれば水が出るし、スイッチを入れれば灯りが点きます。レンジでチンすれば食べ物は暖まるし、トイレで用を足せば流れて行ってくれます(料金を払えば)。これらを私達は「当たり前のこと」として別段ありがたがることもなく暮らしていますが、断水や停電などになると途端に私達の生活に支障を来してしまいます。「有り難い」を「広辞苑」で調べると、「なかなかありそうもない」という意味も記されている通り、日々の暮らしの中で私達が恩恵を受けている「当たり前のこと」に対し「けっして当たり前じゃない」という気持ちを込めて「ありがとう」と感謝したいと思います。

 そして今、関東・東北の大水害では大勢の方が被災し、家屋の倒壊や流失、インフラも大きな損害を被っており、直前まで「当たり前」のことだったことが当たり前ではなくなっている現状に愕然とせざるを得ません。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日でも早い復旧を願ってやみません。

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