「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その10)

2015年5月29日|

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 「介護職というのは専門性があって、すばらしい仕事だと思います。なぜかというと、24時間その人のことをずっとみているのは介護職です。訪問看護や医者は週に1回だったり、1日のうち30分だったりと、スポットでしかみていません。それをずっとみているのが介護職ですから、『ちょっといつもと様子がおかしいな』、『昨日より顔色が悪いよね』と気づくのは介護職ですよね。そして気づいたら医療職に上手につなげていかないと、看取りがうまくいきません」と、認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎の市原美穂理事長は、看取りケアを行う上で、介護職の役割が非常に重要であることを話し始めました。

 そして、「一人で判断するのではなく、”ほうれんそう”と言うとおり、”報告”、”連絡”、”相談”をして、的確な情報を医療につなぐという専門性が、これからますます介護職に必要になってくると私は思います」。と続けました。

 「かあさんの家」では緊急の事態のために電話の横に、「緊急時の報告シート(S/B/A/R)」を備え、用いているそうです。これは(1)Situation(状況):「今(    )さんが(   )です。」、気づいたことや気がかり、不安なことなど。(2)Background(背景):熱、血圧、脈、食事、水分、排泄、表情など。(3)Assessment(判断):「私は(安定・悪化・緊急)思います。今(    )しています。」、(4)Recommend(提案):訪問看護師さんへ、主任へ。「指示を下さい(内容:   )」などの内容について記載し、看護師に報告するもの。看護師はそれを受けて必要な判断、行動をするわけですが、「病院のように24時間ずっと医療職がいるわけではありません。介護職がきちんと状況を伝えなければいけませんし、それが今後介護職に求められる専門性だと思います。そういう意味では医療的センスを磨くことが必要になってきます。生活のリズムを整えながら『ちょっと気になるな』ということを『まあいいか』にしないことです。ちょっとでも気になることがあれば、すぐに伝えることが大事です。それを繰り返すことで医療的センスが磨かれていきます。そして医療的センスはは観察することでしか磨けません。本を読んだり、教室で話をきたりしても磨けません」と、「かあさんの家」での手法を交えながら、今後介護職に医療的センスがますます求められることを繰り返し強調しました。

 一方看護職については、「介護職がどこまでできるかを見極めていかないといけません。看護職が何でもやってしまうと、介護職は手を出さなくなってしまいます。すると介護職は育ちません。ですから”do“よりも”be“です。訪問看護師の皆さんは、介護職の人達をチェックして欲しいと思います」と述べ、「いずれみなさん亡くなります。ですから到達点(看取り)を見据えて、それから”今の時間をどう過ごすか?”というふうにみないと、ここが全然わかっていなければ不安です。『この人はいずれ亡くなる』という到達点を見据えての介護、看護が必要になるのではないかと思います」と、看護と介護の一体的な支援体制が「最後まで普通に暮らすこと」を支えることにつながるという市原理事長の話を聴きながら、参加者は自らの立場と、現在の利用者への関わり方を振り返っていました。

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(つづく)

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