研究大会開きました(その10)

2014年5月9日|

【本間達也先生特別講演(7)

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 スライドに全老人保健施設協会(全老健)が作った「震災マニュアル」を示しています。これは同協会の前執行部である山田和彦前会長(現全老健熊本県支部長、一般社団法人熊本県老人保健施設協会会長)の時に私が作成にかかわったものです。山田前会長は会長就任と同時に福島、宮城、岩手の3県を回っていただきました。私の施設にもきて「本間君、岩手もひどいね。なんとかしないといけないな、マニュアルを作ってくれ」と精力的に指示を出して下さいました。そうして作ったのがこの「震災マニュアル」です。

なぜ作ったかというと、それまの震災マニュアルはどこの団体のものもだいたい災害後3日間程度の基準に合わせて作られているものです。震度67の地震が来て1週間も色々なものがやられた時のためのものというのはどこにもありませんでした。そこで本日の座長でもある櫛橋弘喜先生(介護老人保健施設ひむか苑施設長、全老健管理運営委員会委員)にも入ってもらい、色々な方面の専門家にも入ってもらってできたのがこの全老健版「震災マニュアル」です。ぜひ全老健に問い合わせ、活用していただければと思います。

次に、全老健災害派遣ケアチーム「JCAT(ジェイキャット)」についてですが、これも山田前会長から作るように言われ、引き継いでいるものです。これには厚生労働省の総務課から予算がつきました。全老健では災害等の発生時に、被災地の老健施設への支援などを基本とした「全老健災害派遣ケアチーム JCAT」の構築を進めています。JCATとは”Japan
Care Assistance Team“の頭文字をとったもので、他職種による介護ケアチームをあらかじめ各支部で編成・登録し、災害発生時に必要に応じ速やかに支援活動が行える体制を整えることを目的としています。

今後のJCATの予定としては(1)全老健の各都道府県支部にJCAT編成を要請、(2)各都道府県との災害時協定の締結状況などに関するアンケート調査、(3)被災地域の介護老人保健施設に対するヒアリング調査、(4)各都道府県支部の災害派遣ケアチームJCAT代表者を対象とした集合研修、(5)集合研修参加者に対するアンケート調査・・・などがあります。JCATという全国組織を作っていくにあたり、中央同士で災害時の協定を作っていきたいと思います。3.11の大震災のときの経験から言えば、急性期病院で足りないものは薬ですが、老健ではオムツでした。そこで頼んだのは一般社団法人日本衛生材料工業連合会で、事務局になっているユニチャームにお願いしたらすぐに福島県老健協会に送ってくれました。ですから、JCATなどの中央組織を作っていく上で、中央同士で災害時の協定を作っておくという仕事をさせてもらいたいと思います。平時の段階から各種団体と災害協定を結んでおき、どこかの都道府県が被災した場合、全老健から各種団体を通じて速やかに物資が届けられるようにしておくことが、中央の役目だと考えています。

(つづく)

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