研究大会開きました(その9)

2014年5月8日|

【本間達也先生特別講演(6)

さて、これから「自施設でおこなっておきたい災害対策について」という話に入っていきます。まず「自らの施設が被災する天災(地震・津波・洪水など)発生の可能性を把握していますか?」ということです。県や市町村が作成しているハザードマップなどをしっかり確認しておく必要があります。スライドに「福島市土砂災害ハザードマップ」を示していますが、現在福島市では吾妻山(あづまやま)が噴火しそうだと騒がれています。もしそうなると幹線道路は溶岩が流れ出てくるところにあることから、土砂災害のハザードマップもこのように用意されているわけです。

 次に被災後、多くの支援物資が届いた後に、食料品(非常食)などは期限切れになる前に計画的に食事の献立などに組み入れて使用していく工夫が必要です。実際支援物資で送られてきた食料品の中には、消費期限が迫っているものも少なくなく、色々考えさせられました。一方、毛布やタオル、衣料品などについては、他で被災した施設に送ることまで考えた上で管理しておくことも大事です。これらのことは「平常時からの備え」が大切だと言えます。この冬、2週間ほど大雪が続いた雪害がありました。そうなると物流が悪くなり、コンビニにも物が届かなくなりました。私たちの施設でもオムツと尿とりパッドが届かなくなり、交換回数を減らして対応しました。理想的に言えば、2週間分くらい備蓄できる倉庫があるといいと思います。

さらに、市町村と自施設との間で「災害協定」を締結し、「福祉避難所」として指定を受ける事も重要です。指定を受けることで、要援護者にかかわる日常生活用品や食料、医療材料など必要な物資の確保や、要援護者を適切に介護できるよう必要な職員、ボランティアなどの確保など、行政と連携した対応がスムーズになります。災害時に老健施設は地域の防災拠点として安心と安全を提供する役割を発揮することができるわけです。

ただし、福祉避難所として受け入れるのはいいけれど、その前に施設には入所利用者、そして通所リハビリの利用者もいますので、それらの虚弱高齢者がいるところに避難住民を受け入れていろいろやるというのは完璧にはやれない、ということを行政側に釘を刺した上で協定を締結しておかないと、後から色々と問題が起こることもありますので注意が必要です。

先ほども述べましたが、日頃からの防災訓練実施と施設および設備の点検も大切です。介護保険法の「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準省令第28条」には非常災害に際して必要な具体的計画を策定しておくことや、関係機関への通報および連携体制を整備しておくこと、さらに非難、救出訓練を実施すること等が明記してありますので、これはやらなければなりません。その中で特に「日頃から消防団や地域住民との連携を図り、・・・」と書いてありますが、これは実施指導やサービス指導の際の主眼項目にも入っており、県はここのところを詳しくチェックします。したがって、消防訓練を実施する際には必ず前もって地元消防団を一緒に呼んでやってもらうように調整しておいて下さい。

このようにして年間の訓練に火災や地震、土砂崩れ、そして津波や洪水などの自然災害を想定した防災訓練を抱き合わせて繰り返し実施し、分析と評価を行って有事に備えておくとよいと思います。

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(つづく)

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