改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その11)

2014年12月9日|

 次に示されたスライドは「介護老人保健施設の逆転現象にメス?」というタイトル。会場を埋め尽くした485人の参加者のうち、老健関係者は半数強の250人。ざわつき始める会場を制するように菊地雅洋先生は次のように切り込みました。

BQ8V7139.JPG

 「老健施設については『在宅復帰の施設だ』と盛んに書かれています。そしてマクロの方向性としては『在宅復帰に向けたリハビリを積極的に提供する老健を重点的に評価する』となっており、『介護老人保健施設の在宅復帰支援機能をさらに高めるため、在宅復帰支援機能を重点的に評価する』と言っています。これはどういうことかというと、前回の改定で在宅強化型老健ができましたが、なかなか伸びずに9%に達していない状況(8.7%174施設)で、在宅支援加算型老健(16.9%340施設)と合わせても30%に達せず、74.4%1492施設)が従来型(通常型)老健のままでいるというのは、厚労省老健局としては『もうちょっと従来型から強化型に変わって行って欲しい』と、苦々しい思いなのではないでしょうか〈データ出典:「平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度)『介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業』」〉。強化型や加算型が増えない理由ははっきりしています。『収支差の比較(平成25年度地域特性調査より)』というスライドを出していますが、これを見たら明らかで、従来型の収支差率の方が良くなっているという『逆転現象』が起こってしまっているわけです」。

 そこには在宅強化型老健および在宅支援加算型老健の収支差率が5.2%であるのに対し、従来型老健の収支差率は5.9%であることが記され、菊地先生が述べた「逆転現象」が浮き彫りとなっていました。その理由として菊地先生は次のように続けました。

 「在宅復帰率を高めてベッド回転率を高めても、ベッド利用率が低くなれば収益が減るというのが一つの要素です。もう一つはリハビリのセラピストなどの配置を厚くして人件費をかけてやらないと、なかなか在宅復帰が難しいということで、その結果逆転現象が起こっているわけです。そして今度の改定ではこれにメスが入ると思います。介護給付費分科会の資料では『介護保険施設サービス費及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算については、在宅復帰支援機能を更に強化する観点から、リハビリテーション専門職の配置等を踏まえ、以下を重点的に評価する』とし、『在宅強化型基本施設サービス費』と『在宅復帰・在宅療養支援機能加算』を示しています。つまりあげる、というわけですが、その費用をどこから持ってくるのかというと、それは従来型老健の基本サービス費からではないでしょうか。そうすると従来型の基本サービス費は下がっていくのではないでしょうか」。

 このように、老健施設が本来の機能である在宅復帰の役割を果たすことが今度の改定では強く求められており、そうでない老健にとってはより厳しい改定になるとの見解を示した菊地先生は、老健におけるリハビリテーション機能について、さらに踏み込んだ説明を始めました。

BQ8V7121.JPG

« 前のページに戻る

TOPへ