感染症対策学びました(看護介護部会:その11)

2014年11月17日|

 空気感染(飛沫核感染)対策の講義は、主に結核について進められました。空気感染対策として西田敏秀先生はスライドに次の6項目を示しました。

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(1)空気感染の感染範囲は部屋全体、空調が共通の部屋に及ぶ

(2)対策の基本は「発病者の隔離」「部屋の換気」

(3)医療従事者や面会者はN95マスクを着用、患者はサージカルマスクを着用

(4)結核は排菌している患者とある程度長時間空間を共有しないと感染しない

(5)麻しんや水痘は、短時間であっても感染する

(6)麻しん、水痘、乳幼児の重症結核への有効な対策は、ワクチン接種

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この中で(1)については、「部屋が同じというだけでなく、エアコンが共通だったら広がる可能性あるということを念頭に置いて下さい」と、空気感染ならではのリスクを強調し、注意を喚起しました。

 平成24年における結核の新登録患者は全国で年間21,283人、宮崎県では170人となっており、「戦後と比べると相当減って来ており、忘れられがちです。しかし、その内訳をみると、高齢者が半分以上となっています。ですから高齢者施設に勤める皆さんは結核のことを頭に入れておいて下さい」と呼びかけました。

 「風邪のようで風邪じゃない」と言われる結核。その症状は「咳が2週間以上続く」、「タンが出る」、「体がだるい」、「急に体重が減る」の4つ。しかし、「高齢者は咳やタンが出し切れない人がいます。ですから単純に食欲がなかったり、何となく元気がなかったりする状況が長く続いている場合には気をつけて下さい」とし、注意深い観察と対応による早期発見が、適切な治療につながり、集団感染をふせぐことにもつながるとのことでした。

 結核の感染と発病には「特徴があります」と、次のような内容のスライドを示しました。

 

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「結核菌に暴露しても3人に1人くらいしか感染が成立しません。そして感染したとしても発症するのは1割から2割です。だから結核菌を持っていたとしても、8割から9割の人はお墓まで持って行くということになります」と言い添えながら、結核の感染と発病について、さらに次の7項目を示しました。

(1)感染=結核菌を保有している状態

(2)発病=喀痰中に結核菌が出てきた状態

(3)感染=発病ではない

(4)感染して2年間は発病のリスクが高い

  →X線健診を定期的に受ける

(5)感染しても発病するのは10%から20%

(6)過去に感染した人が高齢になって免疫が弱くなって発病する人が多い

(7)感染しても予防的に治療(抗結核薬1剤を半年内服)すれば発病リスクが3分の1に減らせる

 結核にかかりやすい人として、「高齢者」、「乳幼児」、「免疫力が落ちている人(糖尿病、胃切後、がん、ステロイド、透析など)」を挙げた上で、「当然医療従事者、つまりこれらの人達に接する機会が一番多い人もこの中に入ってきます」と、受講者にも注意を促しました。

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(つづく)

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